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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

ひと 2016.03.09 本当はどこまで進んでいる?日本のグローバル化のいま <後編>

文:株式会社パソナ 執行役員 グローバル事業部長 市川知之

【前編はこちら】



多文化チームが企業の成長力を支える


日本は他国の文化を受け入れるのが少し苦手な気がします。まずは、こうした自覚をすることがファーストステップ。己を知って、初めて相手のことも知れる。世界のどこに行っても、日本についてとても詳しい外国の方に本当に良く出会います。

極端に表現すると、欧米や中国企業は猪突猛進型のことが多いです。例えば、シンガポールでは、英語を第二言語とするビジネスパーソンが“単語”だけで会話をしています。
ビジネスにおいて、会話ができる程度の英語力が重要なのは言うまでもありませんが、日本人はもっと勇気を出して、単語だけでもいいから英語で話してみるのもいいのではないでしょうか。

そして今後は日系企業であっても、多国籍・異文化の部員を束ねて率いるマネジメントが発生するケースが増えると思います。
私の部署には外国籍社員が数十名いますが、英語しか話せない社員も活躍しています。部署のメンバーが母国語以外の言葉で考えを表現することを体験したり、相手の文化を受け入れることを日々経験しています。多様な部員と仕事をする上で私が意識していることは「聴く耳を持つこと」です。

ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授が「パフォーマンスの高いチームの共通点」と題した論文で、この「聴く力」を最初にあげています。
パフォーマンスの高いチームの共通点は三つあり、一つ目がチームのメンバー間に協力する文化があり、アイディアを共有する用意があったことです。
二つ目は、多様な人間でチームが構成されていたこと。これは、国籍問わず、考えの多様性がチームの成功に大きく貢献することを示しています。
三つ目の共通点は、メンバーに共通の目的意識が備わっていたこと。簡単なことに聞こえますが、異なる国籍と文化を持つチームメンバーで構成される組織において、チームのベクトルが合っているのか、目的やゴールが一人ひとりに正しく伝わって、共通認識が抱かれているかは重要です。

強いTeam Japan実現のために


欧米や一部のアジア諸国と違って多様な宗教や国籍の人が少なく、“グローバル化”に慣れていない日系企業が、パフォーマンスの高い組織を作り上げるためには前述したポイントを強く意識し、実現しなければ、これからますますフラット化する世界で競争力を持ち続けるのは難しいかもしれません。

企業だけではなく日本という国全体で考えても、もっと海外から多様な人材を呼び込む仕掛けは必要だと思います。個々の場面では、特に最初はうまくいかないことも出てくるかもしれません。
しかし、その壁を乗り越えた時、必ずや強い組織、強いTeam Japanが誕生します。

パソナは日本在住の外国籍留学生を対象とした就職イベント「JOB博」を、毎年東京と大阪で開催しています。
今年は初めて2日間開催し、出展企業も60社、参加留学生も1,500人(予定)になるなど、過去最大規模での開催となります。日系企業の中国法人から約10社の企業担当者が、このイベントのために来日もします。

日本政府は「留学生30万人計画」等、海外の学生の日本留学を促進する政策を遂行しています。留学後の出口戦略、つまり就職先の支援をパソナは「JOB博」をはじめ、様々な事業を通じて行っています。

そして東京都では、「平成27年度グローバル人材確保支援事業」を都から受託し、「東京で働こう。~TOKYO CAREER GUIDE~」プロジェクトを今年開始しました。プロジェクトを通じて、東京で働きたいと願う外国籍人材の就職支援を行っています。
東京は国際都市ランキングで常に上位にランクインします。このような魅力的な都会として東京を世界中にPRして、日本の素晴らしさを知ってもらい、中小企業やインバウンド需要を担う人材として活躍できるよう雇用を創出していきます。日本で活躍する外国籍人材が増えることによって、日本人の働く意識も変わっていくのではないでしょうか。

いま、日系企業のグローバル化を加速する追い風が吹いています。一社一社、一人ひとりが勇気を出して一歩を踏み出せば、私たちが見ている景色は大きく開けると思います!

(「GLOBAL BUZZ Winter 2016」より)

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