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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

ライフ 2017.04.26 2年で100万人来場!人を育み、地域の核となる「道の駅」の挑戦

文:INITIATIVE編集部

今年4月、リニューアルオープンから2周年を迎え、来場者が100万人を突破した道の駅 丹後王国「食のみやこ」。道の駅としては西日本最大規模の34ヘクタールという広大な敷地のもと、丹後地域の食材にこだわったマルシェやレストランで地元企業・生産者による“丹後の食”を提供しているほか、丹後地域の観光の“ゲートウェイ機能”として地域の様々な魅力を発信しています。今回は、株式会社丹後王国の伊藤真人社長に、地方創生にかける熱い想いや道の駅としての新たな挑戦について聞きました。



地方創生への想いが結集した『道-1グランプリ』


丹後王国「食のみやこ」ではこの2年間、たくさんのイベントを開催してきましたが、昨年9月に実施した全国の“道の駅グルメ日本一”を決めるイベント『道-1グランプリ』は特に印象に残っています。
北は北海道から南は鹿児島まで、20の道の駅が、熱い郷土愛とイチ押しグルメを持って集結し、2日間で約2万5,000人が来場する大盛況のイベントとなりました。

私が一番感銘を受けたのは、全国から集まった出展者の方々の「おらが町の活性化」にかける情熱と、丹後王国「食のみやこ」を核に地域を盛り上げていこうという丹後の皆さんの想いです。

グランプリ期間中に出展者が集まった際は、同じ志や課題観を持つ者同士の一体感が生まれ、さながら“道の駅サミット”のように盛り上がりました。また、京都府庁や丹後地方の市町職員、ボランティアの方々が、全国規模の本イベントの成功に向けて一致団結し、お客様の誘導やゴミの回収、会場の設営・撤収まで献身的にお手伝いくださりました。
まさに全国で地方創生に取り組む方々の想いが一カ所に結集したイベントになったと自負しています。



キャリアの原点は阪神淡路大震災からの復興事業


私は今、丹後の地で地方創生を志して仕事をしていますが、キャリアの原点は1995年の阪神淡路大震災の後、神戸復興を目指しパソナグループが開業した商業施設『神戸ハーバーサーカス』のプロジェクトでの経験です。

震災当時、私の家族は無事でしたが、神戸市東灘区にあった自宅は全壊してしまいました。多くの人達が、家や財産だけでなく、家族や友人の生命、地域のネットワークなど大切なものを一瞬にして失いました。中でも、自分の才能や能力を社会の中で表現する“仕事”がなくなったことは、人々の生活に暗い影を落としました。

そんなとき、グループ代表の南部靖之が「被災地に仕事を!」という想いで『ワークレスキュー』プロジェクトを立ち上げ、震災直後から復興に向けて取り組みはじめました。さらに「働く場所が無いのなら私達で創ろう」という情熱から生まれたのが『神戸ハーバーサーカス』でした。



私は当時、23歳。入社2年目の若手社員でしたが、地下1・2階のレストラン街と食品フロアのリーシングや直営店舗の企画・運営を任されました。プロジェクトメンバーも同世代が中心で、今思えば「よくあんなに若いメンバーで立ち上げることができたなあ…」と、我ながら驚くばかりですが、経営トップの力強いリーダーシップのもと、まさに“不可能を可能にする”仕事と経験を全身全霊で学びました。 

『ワークレスキュー』で仕事を得て、力強いエネルギーで人生を切り拓いていく被災者の姿――。
「神戸ハーバーサーカス」などの取り組みで活気を取り戻し、少しずつ復興していく神戸の街の様子――。

そこで生きる人たちの想いや地域が持つ強さを肌で感じながら仕事ができたことは、私にとってキャリアの原点です。そしてそれが、いま私がパソナグループの一員として丹後王国で地方創生事業を進める“芯”になっています。



丹後王国の事業は道の駅の運営と、それに伴う物販、飲食、ホテル等のサービスです。しかしそれは目に見える部分にすぎず、「地域の経済や雇用にどれだけの波及効果を生むか」「丹後の持続的発展に貢献するイノベーションを生み出だせるか」という視点で事業創造に取り組むことが、私達の本当の使命であると考えています。

阪神淡路大震災のあと神戸復興に向けてがむしゃらに取り組んだときと同じく、私たちは全身全霊をかけて丹後地域の活性化に取り組んでいます。私たちが地域に根を張り、地域で暮らし働く人々の才能・能力を最大限引き出す「ライフプロデューサー」となることが、丹後王国「食のみやこ」の発展だけではなく、丹後地域の社会課題を解決する地方創生に繋がっていくと信じています。

「人材を育む」道の駅に


神戸ハーバーサーカスが地域に雇用を生み出し、私を含めた多くの人材を育ててくれたように、丹後王国「食のみやこ」では、丹後の農漁業や観光、地域活性化に貢献する人材を育む拠点になることを目指しています。

2015年以降、観光・おもてなし、農家民泊、地域産品の加工などの分野で人材を育成する『海の京都 食人材学舎』を京都府から受託し、これまで400名以上の方に受講いただきました。また、昨年から京都府内の3大学20名の学生のインターンシップを受け入れたほか、パソナが運営を受託している就業支援拠点「北京都ジョブパーク」と連携し、障がい者の方のトライアル就業も積極的に受け入れています。 

さらに今年は、京丹後市とパソナテックと協業し、都市部の企業やそこで働く方々、地元の農業従事者に対して、市内のサテライトオフィスを利用した新しい就業スタイルや生活スタイルを提案する『お試しサテライトオフィス事業』を実施しています。

例えば、都市部から来た方がサテライトオフィスを使って自社の仕事をできるようにしたり、農業や観光分野など丹後ならではの就業体験ができる機会を提供する。また反対に、市内の農業従事者がサテライトオフィスを通じて都市部の企業の仕事に従事できるようにする。このように「都市×地方」「農業×テレワーク」など、新しい働き方の実現を目指しています。



「地域商社」という新たな姿へ


今後はこれまでの事業に加え、新しく「地域商社」としての機能を活かした事業を展開していきます。
これまで京都生協様と丹後産野菜の出荷販売の取引が開始したほか、台湾の現地デパートに丹後産コシヒカリを輸出することも決まりました。さらに、香港に新しくオープンするビールバーのメニューのひとつに、丹後王国のクラフトビールが選ばれました。

これからも丹後王国「食のみやこ」を核にして、大都市圏や海外に向けた丹後産品、体験型観光、交流旅行商品などの新規開発・販売を行っていきます。自らを「地域商社」と位置づけて事業展開を図ることで、丹後という“地方”にいながらにして“グローバル”を肌で感じるビジネスが次々と生まれていくでしょう。

私達が目指すのは、「丹後に付加価値をもたらす企業であり続ける」ことです。今後も「丹後の皆様と共に」「丹後の発展のために」を合言葉に、日々前進してまいります。

●丹後王国「食のみやこ」公式サイト
https://tango-kingdom.com/

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