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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2016.02.26 シリーズ 人を活かす「健康経営」(6)
中小企業の健康経営を支えるヘルスケアソリューション

文:株式会社パソナ 取締役専務執行役員 石田正則

資本や人的リソースが限られる中小企業では、健康の課題を明確にして必要な部分に注力した取り組みが必要となります。パソナは、企業の状況に応じたヘルスケアソリューションで中小企業を支援します。



健康経営に二の足を踏みがちな中小企業


労働安全衛生法にも定めがあるとおり、社員の健康と安全を守ることは、規模の大小を問わず企業経営の大前提です。しかし、従業員50人以上に義務づけられている産業医の選任がコスト面で難しいという声を聞くことも多く、社会的な課題であると考えています。

また、「健康経営」というトレンドも中小企業の間では広く普及しているとは言いがたい状況です。健康経営という言葉を耳にしても「お金をかけて何か新しいサービスや設備を導入したり、投資したりしなければいけないのだろうか」「そもそも何をやっていいのかわからない」と、コスト面や実施方法での不安を抱える中小企業経営者も少なくありません。

2015年3月に発表された健康経営銘柄の選定は上場企業に限られており、健康経営に向けた投資やサービス導入でどのような成果が出るかがわからない点も、中小企業が本腰を入れて健康経営に取り組むことに二の足を踏んでしまう理由のひとつです。

中小企業こそ健康経営に取り組むべき


しかしながら健康経営は、大企業以上に中小企業こそ取り組むべきテーマと言えます。中小企業では社員やその家族が病気や休業状態になってしまうと、大企業よりも大きなインパクトが生じます。限られた人数で業務を行う中小企業においては、社員が一人欠けるだけでも業務に大きな支障をきたしますし、社内外からの代替人員も補充しにくいためです。
パソナも多くの中小企業のお客様とお取引をさせていただいておりますが、急遽の欠員などの理由で「早急に人材を派遣してほしい」というご依頼を頂戴するケースは非常に多いです。

また、社員の平均年齢が上がっていく一方で、新卒採用などを通じて若手人材を採用するためのノウハウやブランド力が不足している企業も少なくありません。そうした企業では、従業員の高齢化が進むことにより社員の健康リスクは年々高まっていきますし、大企業の新卒採用が増える中では、中小企業に入社する若手人材は限られているため、状況を放置すれば深刻なマンパワー不足に繋がります。
人員が不足する中での経営は、労災が発生したり、病気や職場環境を背景とした訴訟が起きる可能性もあり、企業イメージの悪化によりさらに採用力が低下するという悪循環にも陥りかねません。
このように、中小企業にとって社員の健康は大きな経営課題のひとつなのです。

アウトソーシングで効果的に取り組む


しかしながら、多くの中小企業では、従業員の数が限られているため専任担当者を配置できていなかったり、ストレスチェックの義務化にあたって前提となる産業医の選任ができていないケースなども見受けられます。
こうした企業にとって、ピンポイントで自社の弱みを補うことのできる「ヘルスケアアウトソーシング」を活用することは非常に効果的です。

昨今お問い合わせが増えているのは、健康管理室業務の一括アウトソーシングのサービスです。ストレスチェック義務化を機に会社全体の健康管理体制を見直していこうと考えている企業も増えています。アウトソーシングを通じて、これまでアナログだった仕組みをIT化していくことや、健診の結果を経年で追っていくことなど、従来自社のみでは実施できていなかった取り組みに、今後注力していこうという企業は多いです。

また健康管理室業務の一部である、ストレスチェック業務のみをアウトソースするケースもあります。
これまで産業医を選任はしているものの、今後、ストレスチェック等により産業医の業務負担が増えることで、現状では従業員の健康管理が不十分ではないかと懸念されている中小企業も多いのではないでしょうか。
医師にとっても、ストレスチェック業務に時間を割くことは大きな負担となります。そうした中で、アウトソーシングを活用することで、産業医に依頼する業務自体を大きく圧縮することが可能です。

さらに、企業の健康管理を支えるベースとなる仕組みして、EAPサービスの導入も有効です。パソナでは協力会社である(株)セーフティネットと連携し、24時間、社員だけではなくご家族も利用可能な相談サービスを提供しており、中小企業から大企業まで幅広く導入いただいています。


健康管理室業務のアウトソーシングの導入
(金融業)
セーフティネットの導入
(プラントメンテナンス業)
背景 健康診断の受診推進のみならず、健康管理室を基点とした健康相談〜健康診断のさらなる促進、保健師を活用した選任産業医の負担軽減を目的に導入 ・休職者および休職者予備軍が顕在化している状況の改善
・メンタル不調の予防のための組織体制構築
導入 保健師による以下業務の委託
(健康管理室利用者対応/健康診断後フォロー/環境・労働安全衛生(EHS)業務/各種報告書作成業務)
電話相談、(休職者の)復職支援、メンタルヘルス研修、ストレスチェック
成果  導入後2年目で健康診断受診率100%達成 従業員、会社、パソナの間で信頼関係が構築され、特に復職支援の面談は効果的に機能している

自社の状況に応じた取り組みを


中小企業ではコストや人手の観点から大企業と同じ取り組みはできませんし、大企業の好事例をそのまま真似してもうまくはいきません。自社の状況に応じてどのような施策が有効かを考え、限られたリソースを活用して社員を巻き込んでいく必要があります。
そのためにも、経営者自らが健康のことはもちろん、仕事や生き方なども含めた健全な生活のあり方などについて、社内外にメッセージを発信することも重要となるでしょう。

また、日々の生活での歩数や禁煙などの健康に向けた取り組みを、全社であるいは部門別に競い合うなど、遊び心を取り入れながら実践することも、社員の健康意識の醸成のためには効果的です。
このように、社内リソースの有効活用はもとより、外部へのアウトソーシングなど、自社の状況に合わせて施策をいろいろと検討してはいかがでしょうか。

さらに今後、中小企業の海外進出が今以上に増えていくことが予想されます。現地で就業する駐在員の健康管理や、帰国後のフォローなどに力を入れていくことも重要なテーマのひとつにあげられます。
社員が海外で大きな挑戦をできる環境を作るためにも、業務面だけではなく健康面でもサポートを行う、パソナグループの海外ネットワークを生かしたソリューションを活用いただけたら幸いです。

(2016年1月発行「HR VISION Vol.14」より)

バックナンバー:シリーズ 人を活かす「健康経営」

  1. 人材こそ資本であり生産性向上のカギとなる <前編>
  2. 人材こそ資本であり生産性向上のカギとなる <後編>
  3. 先進企業の「健康経営」実践ポイント<前編>
  4. 先進企業の「健康経営」実践ポイント<後編>
  5. 健康経営につながる組織風土づくりの指針「良い会社サーベイ」
  6. 中小企業の健康経営を支えるヘルスケアソリューション

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