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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

ひと 2016.03.04 自分の未来に枠をはめない!想定外を乗り越える「女性のキャリアの描き方」

文:「INITIATIVE」編集部

2016年4月から「女性活躍推進法」が施行されるなど、女性がどうしたらイキイキと能力や才能を活かして働くことができるのか、社会的な関心が高まっています。今回は、職歴にブランクのある主婦の再就職に携わり、現在はハウスキーピング事業「クラシニティ(https://www.kurashinity.com/)」を新しく立ち上げて女性の活躍支援を行っているパソナ 営業総本部 マネージャーの蒲生智会さんに、「女性のキャリアの描き方」を聞きました。



想定外が連続する女性のキャリア


女性のキャリアにおいては、時として男性以上に、想定外のことがたくさん起こります。結婚や出産、家族の介護、夫の転勤など、自分の力だけではどうしようもない壁が目の前に立ちはだかります。

私はセミナーなどでもお話しさせていただくことがあるのですが、気持ちが落ち込んでモチベーションが下がったり、将来に不安になったりした際に、自ら人生の選択肢を限定し、未来の可能性に枠をはめてしまう女性がとても多いと感じています。

出産を機に、キャリアのどん底に


私も、これまでのキャリアでは何度も想定外の壁にぶち当たりました。

私は社会人になってからずっと営業パーソンとしてキャリアを重ね、10年ほど前、静岡県の営業拠点で責任者をしていたときに妊娠・出産しました。しかし、そこからが想定外の連続でした。

まず、出産と同時に突然、夫の東京転勤が決まりました。それだけでも想定外でしたが、異動後の東京では、これまでやってきた外回りの営業とはまったく異なる部署(キャリアカウンセリングや求人の案内)に配属されました。

同じ会社ではありますが、これまでとは全く異なる職場環境と仕事内容で、営業の頃はできていたレベルの仕事がなかなかできないことに焦りを感じました。
さらに、子どもが喘息持ちで身体がとても弱く、入退院を繰り返すなどして、ついには私自身も体調を崩すなどして、短期間ですが休職させていただくという経験もしました。

「家族の都合で思うように働けない…」「新しい部署で戦力になれていない…」「こんなはずではなかった…」。当時の自分にとっては想定外の連続で、これまでのキャリアで積み上げてきた自信を一気に失いました。

仕事の喜びを再発見


その後、適性検査のサービスを提供している部署に移りました。検査の回答マークシートを機械で読み取り、データをまとめる仕事です。

その部署には2年半ほどいましたが、ある日、転機が訪れました。
その頃、適性検査の結果から色々なデータが見られて面白いなと思うようになっていたのですが、ある日、たまたま営業担当者が全員都合が悪く、急遽私ひとりでお客様に訪問しなければいけなくなったのです。
即席の“営業担当”としてお客様を訪問し、それまでコツコツと勉強してきた適性検査に関する知識を活かしてお客様に価値を提供できて、とても嬉しかったのを覚えています。仕事に無駄なことはないなと思えた瞬間でした。

働くことの原点に返る


私はいわゆる高齢出産だったので、出産前までで営業として15年ほどの経験があり、「それなりのキャリアを築いてきた」という意識がありました。支店の営業責任者をやらせていただくなど、役職もいただいていましたし。

しかし、その意識が出産と転勤、異動でガラガラと音を立てて崩れたんです。

東京に異動して仕事がうまくいかず、どん底の気分だったときは、お恥ずかしながら自分以外の周りの全ての方が、みんな順風満帆に見えていました。周りのみんなはキラキラと輝いて働いて、どんどんステップアップしていく…。正直、羨ましいなと思っていました。

周りの皆さんも、それぞれに壁にぶつかりながら必死で努力されていたのでしょうけれど、当時の私にはそんな単純なことに気づく余裕もありませんでした。

その後、子どもが小学生になり、喘息も良くなって入院するようなこともなくなってきました。そのタイミングで、また新しい部署に異動することになりました。「中小企業新戦力発掘プロジェクト」という、職歴にブランクのある主婦の方の再就職を支援する事業です。
「営業的な仕事ができる!」「新しいことに挑戦できる!」と純粋に嬉しかったですね。

その頃からです。それまでのキャリアとか、役職とか、周りの方からの目とか、そうしたことが全く気にならなくなりました。
仕事ができることが純粋に楽しく、困っている方をサポートできること、お客様の課題解決の役に立てることを純粋に嬉しく感じるようになり、目の前の仕事にきちんと取り組もうという気持ちになれました。



自分との対話の大切さ


私が気分的に落ち込んでいた時期に、立ち直るきっかけを与えてくれたのはコーチングとの出会いでした。
結婚、出産、育児、転勤など、ライフイベントの壁に立ち向かうときは、2つのコミュニケーションが大切になります。それは他者との対話と、自分との対話です。

特に、自分との対話は大切です。皆さん、もやもやとしたとき、きちんと自分の気持ちに向き合っていますか?

セルフコーチングとも言いますが、自分と対話し、自分を信じてあげることができなければ、周りの多くの人とも信頼関係を築くことはできません。

自分との対話ができていないと、気持ちが落ち込んでいるとき、周りのせいにしてしまいます。「環境が悪い」「転勤さえなければ」「子供や家族のせいだ」など、どんどんネガティブな感情になっていきます。

私は東京に転勤して仕事がうまくいかずに落ち込んでいるとき、自分ときちんと対話できたことで、以前の成功体験を引きずっている自分に気づくことができました。すると気持ちをリセットして、とても謙虚な気持ちになれました。

「なんでパソナに入社したんだっけ?」「この仕事の何が好きんなんだろう?」
そうしたことを考えたことで、改めて気づきました。

「他の人と一緒に様々な課題を解決したり、人の成長を一緒に感じることができる仕事が好きなんだ。」「もう一度、そういう仕事をやりたい!」

自分との対話を通じて、私は「仕事の原点」に立ち返ることができました。それまでは「人のせい」にしてばかりで、「人のため」に仕事をすることができていなかったんです。

そこからは、1日1回は必ず困っている誰かを助けようと心がけ、小さな達成感を積み重ねてきました。自分と対話したことで視野が広がり、次にやるべきことが見えてきたのです。

想定される壁を知っておく


キャリアや人生に悩む女性に伝えたいことは、今後想定される「壁」を知っておこうということです。

この先5年、10年のライフイベントを想定して、プライベートと仕事のそれぞれで、自分はどうなっていたいのか、「ライフ・キャリア・チャート」を描くのが良いと思います。その際はできるだけ、ワクワクする未来を描くこと。手が届きやすい未来ではなく、少し背伸びをしないと届かない未来をイメージすることがポイントです。

そしてどのタイミングで、どんな不安があるか、書き出してみると良いと思います。それをもとに色々な人と話して、お互いの不安やアイデアを出し合うことで、視点が増えて一人では気づかなかった未来の可能性に気づくことができます。

自分が経験したからこそ言えますが、想定外のことは必ず起こります(笑)。
その壁を乗り越えるためには、未来のライフ・キャリア・チャートを描くとともに、生まれてから今までの過去のライフ・キャリア・チャートを描くことも大切です。
過去を振り返ることで、これまで経験したライフイベント毎の色々な感情の機微が見えてきて、それを自分はどうやって克服してきたのか、どうしたらモチベーションが上がるのかなど客観的に気づくことができ、多くの学びがあるでしょう。

そこまで来れば、あとは「タスクマネジメント」と「タイムマネジメント」です。目標のためにいつまでに何をすればいいのかをプランニングします。
手の届かない大きな夢に思えたことが、目標を小さく分割していくことで、自分にとってリアルな現実になっていきます。数年後の目標に向けて、今月、今週、そして今日この瞬間に何をすべきなのかが見えてきます。



トライ&エラーを繰り返そう


セミナーでこのようなお話をさせていただく私自身も、日々、トライ&エラーを繰り返しています。偉そうなことを言いましたが、私も想定外のことに直面して落ち込むことはありますし、モチベーションが下がることもあります。しかし、自分と対話し、他人と話すことを学んだことで、以前よりも早く立ち直れるようになりました。

また、私は社内外の色々な人と会って様々な考えを学ぶことで、自分の中に多様な価値観を取り入れるようにしています。物事をひとつの側面からだけではなく様々な価値観で見ることで、自分自身を承認してあげることができるようになります。
多様な価値観を受け入れて自分と周りが違うことを理解することで、自分や他者との対話が生まれ、思い込みの枠を脱却して新たな気持ちでチャレンジできるようになると思います。

最後に、壁にぶつかりながら頑張っている全国の女性たちに伝えたいのは、「ご自身の未来に枠をはめないでください」ということです。私も、日々悩みながら、これからも挑戦していきます。
 

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