お客様がくださった「自信という大きな夢の翼」
昨年、パソナグループは創業40周年の節目を迎えました。40年前、右も左もわからない学生だった私がパソナグループ(当時テンポラリーセンター)を起業し、ここまでやってこられたのは、エキスパートスタッフとクライアント企業の方々をはじめ、たくさんの方々に支えられ、育てていただいたおかげです。
この場を借りて、改めて御礼を申し上げます。
何よりも創業時、社会人経験がない私にお客様が一つひとつ丁寧に「国際テレックス、和文タイプとはこういうものだよ」と教えてくださり、「頑張りや!応援するよ!」と励ましてくれました。そして、よいスタッフの方が見つかると「ありがとう!助かったよ!」と優しい言葉を掛けてくださいました。
人は褒められたり、感謝されると、甦るものです。
その言葉が、社会人経験のない私を勇気づけ、「自信という大きな夢の翼」を与えてくれました。動物に例えるなら、猫からライオンの心を持つことができるようになったのです。
「Smart Life Initiative」を掲げて
パソナグループは創業以来、「社会の問題点を解決する」という不変の企業理念を掲げてきました。創業にあたっては、家庭の主婦の働く場所を創りたい、才能・能力を活かせる社会を築きたいという一心で人材派遣サービスを立ち上げ、それから40年間、女性をはじめ若者や中高年、障害者、グローバル人材など、一人ひとりが多様な価値観に合わせて自由に働き、真に豊かな人生設計を描けるダイバーシティな社会を目指し、さまざまな雇用創造に挑戦してきました。
現在の日本には、待機児童やシングルマザー、介護離職や中高年の貧困、過疎化に直面する地方など、さまざまな「社会の問題点」が存在しています。
そうした課題を解決するため、今こそ働く人の環境を
「企業依存社会」から「個人自立社会」へと転換し、一人ひとりがライフスタイルに合わせて働くことができる
「Independent Work System」を確立する必要があります。
パソナグループでは、このような社会を実現するためのアクションを
「Smart Life Initiative」と位置づけ、誰もが夢と誇りを持って活躍できる、真に豊かな社会の実現に向けて、さまざまなことにチャレンジしていきます。
人材誘致、新たな産業創造による地方創生
その実現に向けたカギは、地方にあります。私たちは2008年より、兵庫県淡路島で農業人材の育成や地域活性化に取り組んできました。一歩一歩ではありますが、日本の地方創生事業の一つのモデルとなるべく、農業をやりながら音楽やアートを学ぶ若者の誘致、アニメや芸術を使った文化産業の創造など、さまざまな取り組みを行ってきました。
地方創生の本質的な問題は、地方に持続可能な産業が少ないことです。
その解決に向けて、人が集まる「夢のある産業」を創造するため、昨年は淡路島で3つのプロジェクトを実施しました。
昨年7月にオープンした
「Craft Circus(クラフトサーカス)」は、海沿いの開放感あふれる空間を使ったビーチテラスレストラン&クラフトマーケットです。
日本全国さらには世界各国の職人による手工芸品の買い物が楽しめるほか、瀬戸内海を見渡せる絶景を満喫しながら、新鮮な地元食材の海鮮バーベキューや、地中海料理のパエリア、そしてアメリカ東海岸のカニ料理であるスパイシーなブルークラブが堪能できる、これまでの淡路島にはなかったインターナショナルな空間を創り出しました。週末には駐車場がいっぱいになるなど、地元の家族連れから観光客の若者グループやカップルまで、たくさんの方がお越しくださいました。
そして、2015年に続き2度目の開催となった
「Awaji Art Circus(アワジアートサーカス)」。芸術家・音楽家など世界中のアーティストを一堂に集めて約1カ月間、島内のさまざまな場所でパフォーマンスを披露しました。
今年は、外務省や各国大使館、地元自治体、地元企業など多くの後援を受けて、期間中にはのべ5万人もの方にお越しいただき、淡路島の魅力を島内外、そして世界へと発信することができました。
10月下旬からは、約2週間にわたり
「UNDOKAI World Cup(運動会ワールドカップ)」を開催しました。豊かな自然環境のもと、誰もが参加しやすい玉入れや大縄跳び、大玉転がしなどの“運動会競技”で競い合うことで、健康増進や地方創生につなげる大会です。島内外からご家族連れをはじめ、中学・高校・大学の部活動仲間や、企業・団体からの同僚チームなど、たくさんの方に参加いただき、運動を通じてコミュニケーションを深めることができたと喜んでいただきました。
今後は、全国各地で地方大会を開催するほか、世界にも広げ、2年に一度の大会として日本ならではの「UNDOKAI」文化による健康な社会の実現、地方創生に貢献したいと考えています。
東京の真ん中で地方創生を目指す
今年は淡路島だけではなく、東京からも地方創生に向けた新しい取り組みをスタートしていきます。
地方創生を実現するための産業として、私は五つの分野「文化」「健康」「教育」「グローバル」「マンガ・アニメ」に大きな可能性を感じます。
例えば、東京のコンクリートジャングルの中でより健康に働くための癒しの空間として、動物や緑などの大自然を目の当たりにできる広大な自然空間があったり、世界各国からの観光客が集まる東京に、日本中の特産物や優れた伝統工芸品が一堂に集まる場所などがあったら、素晴らしいと思いませんか。
今後、東京という地の利を活かして、日本全国の地方創生を推進し、この国を訪れる海外の方々に日本の素晴らしさをアピールする取り組みにもチャレンジしてまいります。
パソナグループは「Smart Life Initiative」という言葉を掲げ、こうした取り組みに挑戦していきます。「企業依存社会」から「個人自立社会」への転換、そしてその転換を可能にする「Independent Work System」という新しい働き方を確立させ、一人ひとりが自分のライフスタイルに合わせて働くことができる真に豊かな社会の実現に向けて、今年もグループ一丸となって邁進してまいります。
(2017年1月発行「HR VISION vol.16」より)
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