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HR 2017.03.31 BPOの導入やオペレーション変更を成功させる3つの基本ポイント

文:INITIATIVE編集部

大手企業から中小企業まで導入が拡がるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)。導入により大幅な業務効率化やコスト削減を実現する企業がある一方で、経営層が期待するまでの成果に到らない企業もあります。そこで今回は、パソナ・パナソニック ビジネスサービスが開催したBPOセミナーの内容をもとに、企業が新たにBPOを導入したり、アウトソーシングの業務プロセスを変更したりする際に注意すべきポイントについて、パソナ Dotankソリューション事業部 事業部長の山田信行氏に聞きました。



全社最適を実現する戦略的アウトソーシング


パソナグループでは数百人規模のコールセンターから、数名規模の小規模なものまで様々な業務委託・請負案件を受託し運営しています。私はパソナのコンサルティング部門において、BPOのご提案から業務調査・分析、立ち上げ支援までを行っていますが、昨今、企業におけるアウトソーシングの位置づけが変化していると感じています。

これまでは、経理や人事、コンタクトセンターなどで、部門のコスト削減や業務効率化を目指して、一部機能をアウトソーシングする事例が多く見られました。しかしながら最近では、部門のコスト削減は進んでいても、会社の経営層からは更なる効率化を求められるケースが多くみられます。

通常、ひとつの部門の業務は、社内の別部門やお客様から「業務依頼」を受け、それを「受付」「業務処理」「承認」した後、「アウトプット提出」するという流れになります。十分な成果が上がっていないケースでは、アウトソーシング導入時に部門内の「業務処理」の効率化のみに注力して、部門外との接点の部分をきちんと整備できていない事例が散見されます。

例えば、業務受付の段階で依頼項目を統一する、アウトプット先によって異なっているフォーマットの統一や締め切り時間を一本化するなどの対応をせずに、現状の業務フローのまま部門内だけで業務改善を進めても、全社的に見たトータルな業務効率化には限界があるのです。

こうした背景から昨今、部門内の一つの機能・業務の効率化を図る「部分最適」ではなく、「全社最適」の視点で部署の大半の業務を対象にBPOを検討する企業が増えています。我々はそれを「戦略的アウトソーシング」と呼んでいます。
戦略的アウトソーシングにより、それまでその業務を担っていた人材は企画や営業、新規事業開発などの部門に異動し、コア業務に注力することで全社的な効率化と企業力の向上が期待できます。

そうした戦略的アウトソーシングを進める上で、重要なポイントは3つあると考えています。

  1. プロジェクト推進
  2. 目的の明確化
  3. 現状把握

1. プロジェクト推進


1つ目は、「全社最適」の視点でプロジェクト推進体制を作り上げることです。そのトップにはBPO導入の方向性をきちんと示すことができ、社内的な発言力と権限を持ち、推進力がある役員クラスの人材を据えることが理想です。

その下にプロジェクト推進本部や経営企画部など、会社全体を横串で取りまとめる部門を作ります。また、導入過程では部署を越えた社員異動やシステムの切り替え、業務フローのIT化なども視野に入るでしょう。そのため、人事や情報システムなどの関係部門も体制に加え、「全社最適」を視野に入れてプロジェクトを推進していきます。

体制作りの中で最も重要なものはトップの推進力です。これが欠けてしまうと、導入がある程度進んだ段階で、部門間の様々なしがらみから異論が噴出し、最終的に声の大きい部門の意見が通ってしまうことがあります。そうなると、想定していた効果は上がりません。トップに立つ役員のもとでプロジェクトをやり遂げるという強い意志と体制作りが何よりも大切です。

2. 目的の明確化


次に、何のためにアウトソーシングを導入するのか、関係者のベクトルを合わせることが大切です。

昨今多い導入目的は、経営資源をコア業務に集中させることです。中期経営計画等で注力分野を定め、その分野にシフトするための体制作りとしてアウトソーシングを導入するパターンです。この場合、会社の計画に沿って進められるため、社員も納得して導入がスムーズに行われます。

また、直近では、社員の高齢化等で生じる社員数減少のリスクに対応した運営体制の構築を目的とするケースも多くあります。
例えばある電機メーカーでは、その部門でオペレーションに携わる社員の多くが50代で、今後、毎年数名規模で定年退職者が発生してくという状況でした。3年後、5年後を考えると、今の業務を維持できないことは目に見えていました。そこでアウトソーシングを活用することで社員が減少しても業務を継続できるような体制に切り替えました。

このように、各社の置かれた状況や抱える課題、導入目的は様々ですが、それらをプロジェクトの責任者である役員から社員にきちんと説明することが大切です。役員から部長へ、さらに課長、一般社員へと続く伝言ゲームになると、当初の意図から次第に内容が変わってしまうケースは多くあります。プロジェクト体制のトップから、社員にきちんと落とし込む必要があります。



3. 現状分析


3つ目に、アウトソーシングを進める際は、あいまいな経験則で導入範囲を決めるのではなく、きちんと現状把握をして、業務の「どこ」を「どう」アウトソーシングするかを決定します。
そのために、パソナでは業務調査により以下の5つの可視化を行います。

  1. 業務の可視化(どういう仕事をしているのか)
  2. 課題の可視化(現状の課題、将来に向けた課題、導入後に想定される課題は何か)
  3. 必要性の可視化(この業務処理は何のためにやるのか。前任者から引き継がれただけで、今は必要のない業務を行っているケースは意外と多い)
  4. 相関関係の可視化(他部署やお客様との関係。受発注部門であれば商社や卸会社、社内の工場や配送部門など)
  5. 業務量の可視化(毎日・毎月どのくらいの業務量が発生し、どのくらいの時間がかかっているか)

そして、それらを可視化するために「業務一覧表」を作成します。
ベースとなるものはお客様(アウトソーシング導入企業)に作成してもらい、詳細をパソナがヒアリングするのですが、その際、ベテラン社員の方に聞くほど、大まかな業務一覧表しか出てこないことがあります。その結果、「この業務にはやはり経験が必要なのでアウトソーシングはできない」という結論になってしまいます。

しかしながら、細かく業務処理の流れをヒアリングしていくと、ベテランの経験がないとできない業務と、マニュアルを整備すれば誰でもできる業務があることが分かります。その場合、経験がないと判断できない業務のみベテラン社員の方にやっていただき、それ以外をアウトソーシングすることで全体の効率化を図ることが可能です。

まとめ


いかがでしたでしょうか?
これら3つのポイントをきちんと押さえることで、効果的なアウトソーシングの実現が可能になります。

最後に、戦略的アウトソーシング導入の前提として「意識改革」も進める必要があります。
当社でアウトソーシングを提案する際は、「人材や体制は変わりうる」という前提で設計・構築を行います。労働契約法などの法律により人員が入れ替わるケースもあります。また、特定の社員にひとつの部署にずっといてもらうことも難しくなってきています。そのため、社員個人にノウハウを蓄積するのではなく、人材や体制が変わっても業務を継続できるよう業務プロセスを見直すと共に、ITツールやナレッジツールを活用しています。

アウトソーシングは導入がゴールではありません。導入後も継続して効率化を図っていくことで、数年後に大きな満足に繋がります、導入後もベンダーとコミュニケーションをとり、定期的に効果測定や改善を行っていくことが求められるでしょう。
今後、戦略的なBPOを検討する企業の方は、是非パソナグループにお問合せください。

●パソナ BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス
https://www.pasona.co.jp/clients/services/bpo.html

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