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HR 2017.05.31 ダイバーシティ推進企業 千葉銀行が取り組む女性活躍推進のいま

文:キャプラン株式会社 Jプレゼンスアカデミー
(インタビュー:2017年1月/編集:2017年5月/名称・役職等はインタビュー時点)
 

▲(左から)株式会社千葉銀行 ダイバーシティ推進部  調査役 山本 悠介様、部⻑ 安孫⼦ 礼⼦様
      調査役 高橋 郁代様、関 萌深様

「リテール・ベストバンク」グループを目指し、中期経営計画の一つの柱に「全ての職員が輝く働き方改革の実現」を掲げる千葉銀行。ダイバーシティ推進に積極的に取り組み、内閣府「平成27年度女性が輝く先進企業表彰」内閣総理大臣表彰、経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」を受賞しています。ダイバーシティ推進を持続的成長のための経営戦略と位置づけ、その第一歩として、行員の4割を占める女性の活躍推進に積極的に取り組んでいます。

今回は、ダイバーシティ推進部 部長の安孫子礼子氏、調査役の山本悠介氏に、女性活躍推進研修を導入した経緯や、実際の研修内容、受講者の意識の変化などについてお話を伺いました。

トップのコミットメントと人材育成による意識・行動変革

千葉銀行は、1986年に全国の銀行で初めて女性支店長を登用し、2005年には「女性いきいきキャリアアップ宣言」を策定するなど、早くから女性活躍推進に取り組んできました。2014年11月には、全国の地方銀行64行が「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を設立、その事務局を当行が務めています。

こうした取り組みの背景には、頭取の佐久間の積極的なコミットメントがあります。トップ自らが「女性活躍推進はPRや福利厚生のために行うものではなく、経営戦略の一環である」と行内外で発信し続けることで、女性が活躍することの重要性が管理職や行員一人ひとりに浸透してきました。

また当行では、2020年度までにリーダー職(支店長代理など、部下を持つ立場)の女性比率を30%、管理職(支店長、部長など)の女性比率を20%とすることを目標としています。2016年7月現在、リーダー職は28%、管理職は9%となり、2005年の頃に比べれば比率は大幅に上昇しました。しかし、女性が積極的に活躍するためには、登用だけでなく、意識や行動の変革も不可欠であり、人材育成の果たす役割は大きいと考えています。

女性の両立支援から、中長期的なキャリア支援へ

仕事と育児の両立を実践してきた女性管理職をリーダーとする「女性活躍サポートチーム」を2011年に立ち上げました。産休取得前や育児休業明け、新しい分野に挑戦する女性などを対象に定期的に店舗で個別面談を行い、職場復帰やキャリアアップをサポートしてきました。この取り組みを強化するため、2014年に「ダイバーシティ推進部」を設立しました。

設立当初は仕事と家庭の両立支援をメインに活動してきましたが、次第に、制度や環境の整備、積極的な女性行員登用なども進んでいきました。しかし一方で、本来能力差がないはずの男女間でキャリアに対する意識のギャップがあるなど、管理職になることを前向きにとらえきれない女性行員もまだ多くいました。

女性行員向けの研修も行ってきましたが、その時は受講者の意欲が高まっても、日常業務に戻り上司からの特段のサポートがない状況だと、すぐに意識も元に戻ってしまうことが課題でした。

継続的な研修で女性が活躍する風土づくりを実現

女性活躍推進研修については、パソナグループで教育研修事業を手がけるキャプラン株式会社に協力を仰ぎました。そして、女性のキャリアに対する前向きな姿勢づくりを目的に、女性行員(女性リーダー職および係長職)約70名とその上司約70名を対象とする「輝く女性応援ワークショップ」研修を約半年間かけて実施しました。

女性行員向けの研修では、「働く女性が壁を乗り越えるために必要なこと」をテーマに、職場での自己目標を設定するほか、部署の異なる5〜6人でグループを作り、行内外のロールモデルとなる女性にインタビューを行いました。

また、パソナの女性管理職との意見交換会も実施し、他社の実態を知ることで自分たちのよい面や不足している面を改めて見つめなおす機会を設けました。参加行員の部署の上司には、女性部下が取り組んでいる研修課題のサポート役を務めてもらいました。最後には、女性行員が課題や悩みを発表・共有し、ともに具体策を考えました。



研修の対象となる女性リーダー職や係長職は、ある程度仕事での経験を重ねた、業務スキルの高い行員です。しかし、マネジメントについては手探りで行ってきたため、研修を通じてこれまでの自分を振り返ることで、「自分がやってきたことは間違いじゃなかった」「こういうふうに考えればよかったんだ」と頭の中を整理できた、という声が多く寄せられました。また、全体としては「自分のキャリアに対して前向きになれた」「これまでは自分の仕事のことだけを見ていたが、視野が広がった」「達成感を得られた」という意見がありました。

この研修は事前の準備が必要で、普段の業務と並行して進めるのは大変な部分もありました。しかし、あえて難しい課題に挑戦することで視野が広がり、人間的な成長も促すことができました。そうした成果の一つに、行内のネットワーク作りが挙げられます。部門横断型のグループで協力し合いながら一つのことを成し遂げることで、広く強い結びつきができました。また、研修を通じてリーダーシップを発揮したり、マネジメントやスキルアップについて実践したことが、今後の業務にも活きてくると思っています。

これまでも当行では数々の研修を開催してきましたが、座学が多く、内容も業務に関連することが中心でした。キャプランによる研修は、従来課題であった単発では終わらず、グループで一つの成果物を作るという点でこれまで開催した研修とは全く異なっていました。また、誰もが自分の意見を素直に発言し、それを受け止めてもらえる雰囲気がありました。グループで一つの成果物を作り上げたり、それをプレゼンテーションしたりする様子を見ていると、今後のキャリア形成に対する姿勢も変わってくるだろうと感じました。


女性活躍推進は、経営課題

2016年に女性活躍推進法が施行され、日本では国家レベルで女性の活躍が重要なテーマとなっています。当行でも頭取以下、経営陣が「企業の競争力を上げるために女性の育成・登用を行う」という大前提に立っています。女性の活躍推進を始めた当初は、どうしても摩擦が起きました。しかしここ数年で登用が増え、高い営業成績を上げたり、専門的な知識を持って営業できる女性行員も増えており、お客さまからも高い評価をいただくようになっています。

地方銀行は、地域社会全体を活性化させていくという役割を担っています。少子化が進む中で地方創生を実現するためには、女性活躍推進は非常に重要な課題です。かつて銀行では、女性は結婚したら退職をするという前提で採用・教育していた時代があったことは事実です。

しかし現在は、新入行員の時から手をかけて人材育成を行い、10年、20年、30年と勤めて活躍し続けてもらいたいという思いがあります。研修はもちろん、女性行員を対象とした定期的な面談なども通じて細やかなフォローを行い、キャリアに不安を抱く原因となるものを早期に解消しながら、成長を支えていければと考えています。

これからは女性の出産・育児はもちろん、高齢化社会の到来で介護を理由に仕事を継続することが困難な行員も増えてくるでしょう。女性だけが柔軟に働ければよいということではなく、男女を問わず働きがいのある職場づくりが求められていると思います。また、LGBTや障がい者なども含め、一人ひとりが個性を認め合って、お互いに切磋琢磨し成長していけたらと考えています。 

キャプラン株式会社 Jプレゼンスアカデミー 「クライアントレポート Vol.02」より一部抜粋)

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