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HR 2018.02.02 RPAによる業務プロセス改革、RPA人材育成の最前線

文:株式会社パソナ 代表取締役社長 COO スコット・佐藤

オフィス業務の生産性向上に「ロボット」を活かす


パソナがBPOの一環としてロボット関連事業を開始してから約2年が経ちましたが、2017年はロボットに関する社会の認知が急速に高まった年でした。

メディアでRPA(Robotic Process Automation)について目にする機会も増えました。また、クライアント企業からも「RPAで業務が効率化できると聞いたので、自社でも導入を検討したい」といった声を多数いただいています。
この背景には、恒常的な人手不足や、働き方改革の推進といった情勢が影響していると考えています。



RPAとは何かを改めて説明すると「人が行っているオフィスワーク業務を自動化するソリューション」と言えます。従来は作業の自動化に大規模なシステム開発が必要でしたが、テクノロジーの進化によって多様なRPAツールが登場し、低コストでスピーディな導入が可能となりました。

RPAツールは適用範囲が広いのも特徴で、「企業独自の基幹システムのローデータを取り出してきてExcelのシートに入力・集計する」など、システム環境を横断した作業も自動化することができます。加えて、人よりも処理速度が速く24時間稼働もできるため、業務処理のリードタイム短縮にもつながります。

こうしたメリットを活かせば、業務を効率化でき、オフィスワーカーが定型業務から解放されて、より知的生産性の高い業務に集中できるようになります。

ロボットの持つこうした特徴から「ロボットになんでもやってもらいたい」「一度ロボットを導入すれば、その後は放っておいても自動化してくれる」と大きな期待をされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、ロボットは導入すれば完結するというものではないのです。

パソナのRPA導入支援サービスでは、まず「ロボットに向いている業務は何か」をご提案しています。場合によっては、ロボットではなく他のBPOソリューションで対応するほうが効率的なこともあります。業務を理解し、ロボット導入が最適という場合に導入をおすすめしています。

【参考記事】BPOの導入やオペレーション変更を成功させる3つの基本ポイント

RPAの導入事例

既存システムを変えずに、以下のような業務を自動化することが可能です。
RPA導入により、「品質」や「スピード」の向上、「効率化」「高度化」を実現します。

営業 ・顧客情報入力 ・案件情報入力 ・営業日報入力 ・申込書取込 ・レポーティング作成
販売・購買 ・受発注伝票入力 
マーケティング
・データ収集 ・レポーティング作成
IT ・ITシステム運用 
会計 ・有価証券情報取得 ・売掛/買掛金処理 ・決算書作成 ・請求書発行 ・見積発行 ・経費申請 ・精算処理 ・交通費確認
人事・給与
/総務
・給与計算 ・支払 ・勤怠入力 ・経費精算 ・人事情報登録 ・マイナンバー申請処理

RPA普及のカギは「人材育成」にあり


RPAに対する注目が高まる中、ロボットを業務に導入する企業が増えています。その一方で、新しいテクノロジーということもあり、RPAに習熟している人材はまだまだ不足している状況です。

先に述べたとおり、ロボットの導入時には業務分析や業務フローの再構築が不可欠です。また、ロボットを作成して導入したら、継続的な保守・メンテナンスが必要となります。

ロボットは指示されたことを正確に実行できる反面、例えば「参照するExcelのファイル名が変わった」というだけでも、ファイルを見つけられずに作業がストップしてしまいます。この場合、人が「ファイル名が変わった」という指示を出すことで、再び正しい実行ができるようになります。

このようなメンテナンスは日常的に必要ですし、業務内容や社内ルールが変われば、それに合わせた大規模な改修も必要となるでしょう。こうした提案・作業を行える人材が増えれば、ロボットの普及は一気に進むものと考えています。

パソナでは複数のRPAツールを取り扱っていますが、その中でもNTTデータグループとの協業でサービスを提供している「WinActor(ウィンアクター)」は、手軽に導入できて操作も比較的易しく、ロボット導入のハードルを下げる画期的なツールの一つです。
現在、この「WinActor」を使用したロボットの作成や運用ができる人材の育成に力を入れています。

その一環として、エキスパートスタッフ向けに「RPAエキスパート育成講座」を開催。未経験でも参加できるスターターコースでは、RPAの基礎知識を学び、RPAツールを操作してロボットの構築を行います。実践に即したスキルを身につけるためのラーニングコースも実施しています。

また、「RPAトレーニングセンター」を設けてスキルアップのサポートを行っているほか、育成講座の講師を務める人材も全国に増やしています。

ロボットのスキルを持って仕事をするエキスパートスタッフは、通常の事務職よりも時給が2割ほどアップする傾向があり、スタッフのステップアップとしても有効な手段だと考えています。


ロボットやAIが仕事の未来を切り拓く


RPA分野では常に新しい技術が生み出されており、知識やスキルを更新し続けていくことが重要です。パソナのエキスパートスタッフが常に最新の技術を身につけてツールの導入・運用に携わることで、お客様にも大きなメリットをもたらすことができることでしょう。

「WinActor」のような扱いやすいRPAツールの導入によって、ロボットと仕事をすることに慣れるのと同時に、業務に関するデータ収集の基盤整備も行えます。
近い将来、AIの爆発的な普及が起こると考えられますが、その時に必要となるビッグデータは「きれいなデータ」、つまり属人性を排除し手順が明確なデータでなければなりません。徹底したデータ収集の第一歩として、RPAの活用は有効となるはずです。

【参考記事】急速に拡がるHRテクノロジー 人事分野でのビッグデータ活用の可能性

かつては「人間の仕事を奪うのではないか」と脅威の目で見られていたロボットも、「人の仕事をアシストしてくれる頼りになる存在」として認識されるようになってきました。

まずは社内の小さな業務に試験的にRPAツールを導入してみて、効果を実感していただきたいと考えています。その経験があれば、さまざまな業務への応用も可能です。
パソナグループではこれからも「人×ロボット」による未来創造に挑んでいきます。

(「HR VISION Vol.18」より)

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