本文へスキップします。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2018.09.05 子育て世代の人材を活かす職場環境の創り方 ~戦略的に取り組む企業主導型保育~

文:株式会社パソナフォスター 代表取締役社長 長畑 久美子

保育や保育園のあり方に柔軟に向き合う


働く子育て世代を取り巻く状況は、この数年で大きく変化しています。
国が「子育て安心プラン」で待機児童を解消するための受け皿整備に力を入れ始めたことで、女性の就業率や保育申込者数、1・2歳児の保育利用率は加速度的に向上しています。

また、保育のあり方の柔軟性が増してきたことも特徴的です。地域の保育園が様々な場所・形態で設置されるようになったことや、認定こども園が増えたこと、企業主導型保育に予算が配分されるようになったことで、特に都心では「保育園とはこうあるべき」という認識がどんどん変わりつつあります。
認可保育園に入るための基準も変わり、フルタイム勤務でなくても申し込みができるようになるなど、より柔軟になっています。

こうした状況を踏まえて、保育や復職に対する企業の意識にも変化が求められています。復職を検討する際には、必ずしも「4月にフルタイムで」という条件だけでなく、復職者と企業、双方の事情を踏まえながらタイミングや時間、勤務日数を決定する柔軟性も必要でしょう。

また、企業主導型保育を検討する際には、今困っている子育て中の社員の意見・要望だけでなく、将来の人員計画やビジネスモデルなど経営戦略的な視点から検討し、社内の幅広いメンバーと協議をすることも大切です。
若手の要望や、復職者をマネジメントする部門長などの意見なども反映し、トップ自らも一緒に考えることが、納得感の高い設備の運営や制度運用につながると考えられます。


企業内保育所の運営には確固たる理念が不可欠


保育を取り巻く状況やニーズの変化にあわせて、パソナフォスターでは様々な認可保育所・認証保育所・企業内保育所を開設・運営してきました。

2013年には、様々な企業で多様な働き方をする方々の支援をするダイバーシティ型保育施設「キッズハーモニー・新宿」を開設し、複数企業が共同で利用するという保育園のあり方を提案しています。

特に都心のオフィスビルはセキュリティが厳しく、ビル内に保育園を設置するハードルが高くなっています。自社ビルでない場合は移転の可能性がありますし、ビジネスモデルや業務形態が変化することでオフィスの状況も変わり、保育園の運営が困難になることも考えられます。
そうしたリスクを考えながらも、社員のよりよい働き方のために保育のサポートに力を入れていこうという強い思いを持つことが、まず企業にとって大切なのではないかと思います。

企業内保育所の新しい取り組みとして、(株)長大、(株)建設技術研究所、八千代エンジニヤリング(株)という建設コンサルタント業界の3社が今年4月に共同設置した企業内保育所「かけはし保育園」があります。

都内で保育所が不足していること、結婚・出産・育児により離職する社員がいることは業界内で共通した課題だったため、(株)長大が代表会社として計画が進みました。
3社の最寄駅が異なるため、設置場所については協議を重ね、各社からアクセスしやすい秋葉原に設置することになりました。

同業他社がこうした形で保育所を運営するのは全国的にも珍しい取り組みですが、建設や設置に関わる費用を3社で持ち合うことができ、単独で計画するよりも設置が容易になるというメリットがあります。パソナフォスターは「かけはし保育園」の運営に携わりながら、3社の間に立って、コンサルティングやアドバイス等を行っています。

「かけはし保育園」のように、自宅・職場の最寄駅と保育園の場所が同じではないケースでは特に、会社がしっかりとメッセージを発信していくことが重要です。

「会社として意志を持って保育のサポートをしている」「保育園の場所に多少のハンディはあるけれど、有効に使っていこう」と繰り返し伝え続けることで、社員は「会社がこれだけのものを作ってくれたのだから預けてみよう」と感じるようになり、利用が促進されます。
利用者から「便利だ、助かる」という感想が集まれば、次の利用へとつながり、よりよい運営につながることでしょう。


復職・保育の先にある課題の解決を目指して


妊娠・出産からの復帰が当たり前のことになりつつある中、今後はその延長線上にある課題の解決にも積極的に取り組んでいく必要があると感じています。

その一つが、イベント時などの臨時託児サービスです。人事部主催の復職セミナーなどの際にお子様をお預かりしたり、小売業で旗日やセール等の繁忙期に従業員向けに開設する、あるいはお客様向けに活用いただくケースもあります。

また「学童」もニーズの高まりを感じています。パソナフォスターでは地方自治体からの委託で学童クラブ・児童センターの運営を手がけるほか、民間学童にも力を入れています。

企業内でも取り組みは可能で、例えば夏休み・冬休みなどに、会社の一室に1・2週間設置することで、朝はお子様と一緒に通勤し、お昼は親子で一緒に食べるといった形で、お子様とのコミュニケーションをとりながら働くことができるようになります。

(参考記事)夏休み中の学童保育!自由研究にも活かせる「Miracle Kids Otemachi」
https://www.pasonagroup.co.jp/media/index114.html?itemid=2482&dispmid=796

地域や民間で放課後・長期休暇の選択肢を増やすことによって、子育て世代社員のサポートになり、親子ともに行き詰まりを感じることがなくなればと考えています。

こうした多様なサービスを高い品質で提供し続けていくためには、保育に携わるメンバーのキャリアアップも重要です。パソナフォスターでは、保育の仕事に携わる方々が安心して子どもたちと向き合うための学びと交流の場として「保育Academy」を開設しています。

未経験から資格取得を目指している方や、ブランクがあって復職を考えている方向けの「オープン講座」、現役の方や経験者が保育に関する理解を深めるための「スキルアップ講座」のほか、バーチャル保育室でのトレーニングなど、多様な機会を提供し、自信をもって現場で活躍できるサポートを行っています。

保育のあり方やニーズは時代とともに変化し続けます。パソナフォスターはこれからも柔軟な発想とフットワークで子育てをサポートし、保育の可能性を創造し続けていきます。

(2018年7月発行「HR VISION Vol.19」より)

新着記事

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加