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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

ライフ 2018.10.15 介護離職ゼロ社会を目指して

文:株式会社パソナライフケア 代表取締役社長 髙橋 康之


「介護離職」と「大介護時代」という2つの大きな課題


今、日本では介護を取り巻く二つの大きな課題があります。

一つは「介護離職」です。介護の情報を事前に知らなかった、会社の介護に対する理解が不足していたなどの理由から仕事を辞めてしまい、その後、経済的な困窮や再就職の壁が立ちはだかり「やっぱり辞めなければよかった」と後悔する人は非常に多いのです。企業にとっても、優秀な人材の流出というダメージを負うことになります。

もう一つの課題は「大介護時代」の到来です。2025年、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、国民の3人に1人は65歳以上、5人に1人は75以上という超高齢社会が現実のものとなります。誰にとっても介護は身近なものとなり、介護人材の不足は今以上に深刻な問題となるでしょう。

こうした背景を受けて、介護に対する企業の危機意識は、この数年で大きく変わったように思います。現時点では従業員から介護に関する相談は多くなくとも、7年後の2025年を見据えて先手を打つ必要があると考える企業が増えています。
その表れとして、パソナライフケアが提供している企業従業員向けの「仕事と介護の両立セミナー」の開催依頼は増加しており、一度開催した企業が対象者を変えて2回目、3回目を実施する例も多く見られます。

また、従業員の介護に対する意識や実態を把握するためのアンケート調査の実施や、介護に直面した際に役立つ知識をまとめて企業ごとにカスタマイズしたハンドブックの制作についても、多くのご依頼をいただくようになりました。

このような様々な取り組みを通じて、従業員の介護を支える企業風土を醸成し、一人で抱え込まないようにサポートすることは、企業が将来の大介護時代に向き合う上での大きなポイントになっていくと考えられます。

情報を得ること、相談できることの大切さ


両立支援セミナーを実施すると、講義中には質問が出なかったのに、終了後、講師の前に相談の列ができることは少なくありません。100人いれば100通りの介護の悩みがあり、個人的なことを講義中に発言しにくいということなのでしょう。社内では相談しにくくても、講師という第三者なら話しやすいということもあるのかもしれません。そうした状況を受けて、セミナー終了後に予約制の相談会を設ける企業も多くなっています。

パソナグループでは、ベネフィット・ワンの企業向け福利厚生サービスの一環としても、介護相談を受け付け、パソナライフケアで対応するというサービスを行っていますが、そこでも本人の事情に合わせた具体的な相談が寄せられており、適切なサポートの重要性を実感しています。

実は今、私自身が両親の介護の只中にあります。88歳の父と85歳の母は兵庫県に住み、私は千葉県で暮らしているため、遠距離介護です。
両親は世代的に介護サービスを活用することに抵抗があるようで、まだ施設に入りたがらず、訪問介護を拒絶したこともありました。「老いては子に従え」と幼い私に教えてくれたのは両親ですが、現実にはなかなか難しいようです。

しかし、遠距離であっても、出張の折に実家にこまめに立ち寄ったり、ケアマネージャーと日頃から連絡を取り合って関係を築いておけば、いざというときにもスピーディーに対応できるものです。

そうした経験を、パソナライフケアのWebサイト内の両立支援ブログで「ケアボスVoice」として公開しているほか、セミナーの場でもお話しするようにしています。すると、「今まで親を担当しているケアマネージャーと話したことがなかったのですが、一度連絡をとってみます」といった感想をいただくようになり、私自身の体験が、皆様のアクションのきっかけの一つになっているのだと実感し、とても嬉しく思います。

多角的なアプローチで介護の課題解決に向き合う


パソナライフケアは、仕事と介護の両立支援サービス以外にも、様々な形で介護の課題解決を目指しています。

2018年4月に和歌山市に開設したデイサービス「パソナライフケア 栄谷」は、年齢にとらわれず、個々の自由で生き生きとした生活をサポートするというコンセプトを掲げる施設です。大分県別府温泉の「湯の花」を使用した泥湯の足湯を設けたり、柔軟性や可動域、筋温を高めることができるストレッチマシン「Reflexible」を9台設置しています。

また、多彩なレクリエーションプログラムと栄養バランスに配慮したおいしい食事も提供し、総合的に健康寿命の向上に貢献することを目指しています。地域での評判も高く、訪れる皆様が楽しみなら健康を維持・改善できる場になればと考えています。



それから、最近ニーズが高まっているのが「創業者・経営者の介護・介助」です。高度経済成長の頃に30歳前後で創業された方は、現在80代に差し掛かっています。「認知症などにならない限りは会社に行きたい、現場に出たい」というご要望がある一方で、体が思うように動かないこともあります。そうした方々の介護や介助、家事代行などをどうすればよいか、社長室や秘書室などの責任者向けにセミナーを開催するほか、実際の介助サービスや24時間見守りサービスなども提供しています。

こうした、介護保険外で対応する「パーソナルアシスタント」は外国では一般的なものであり、日本でも今後ますます需要が高まると考えられます。

このように介護に関するサービスが多様化してくると、それを支える人材の育成はますます急務となります。施設ができても、そこで働く人がいなければ、必要なサービスを提供できず、結局介護離職を招くことにもつながるのです。

パソナライフケアでは現在、介護の仕事について無資格・未経験の方向けの研修会を開催しています。当社のメンバーが講師となり、座学のほか、車いすやベッドでの介助の仕方、服の脱がせ方・着させ方など具体的なスキルを教えています。
このプログラムを修了することで一定の介助スキルが習得でき、パソナグループ内で介護・介助の仕事に就いたり、介護施設への人材派遣・紹介サービスを通じて活躍の機会を得ることも可能です。介護業界の人材不足に対する打ち手の一つとして、意義のある取り組みだと考えています。

私たちはこれからも、多様化する介護ニーズに応えるサービスや施設運営を通じて、社会課題の解決を目指していきます。

●パソナライフケア Webサイト
http://www.pasona-lc.co.jp/

(2018年7月発行「HR VISION Vol.19」より)

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