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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

ライフ 2018.10.24 「人」を中心とする未来のオフィスデザインとは何か

話:株式会社パーク・コーポレーション parkERs クリエイティブディレクター 城本栄治氏
文:INITIATIVE編集部

厚生労働省「平成28年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事で強いストレスを感じている労働者は全体の約60%に上ります。昨今、企業における「健康経営」の取り組みが重要性を増すなか、ストレス軽減や集中力・生産性の向上、コミュニケーション活性化などに向けた仕組みを充実させたオフィスが増えています。そこで今回は、オフィスづくりの最新トレンドや未来のオフィスデザインについて、今年7月に開催した「Pasona Group HR Forum」での株式会社パーク・コーポレーション  parkERs(パーカーズ) クリエイティブディレクター 城本栄治氏の講演の内容をお届けします。


▲城本栄治氏
「parkERs」ウェブサイトはこちら https://www.park-ers.com/

オフィスに花や緑を


パーク・コーポレーションは、フラワーショップ「青山フラワーマーケット」を始め5つのブランドを展開しています。10年以上前からフラワーショップの店舗デザインや自社オフィスの内装設計を手がける中で、次第に花や緑に溢れる弊社のオフィスを見たお客様から、こんな空間を作って欲しいというご相談を受けるようになりました。その後新宿マルイや有楽町マルイ、羽田空港国内線ANA SUITE LOUNGEなどを手掛け、5年前に空間デザインブランド「parkERs」を立ち上げました。現在では企業のオフィスやマンションなどの住宅、公共空間に公園のような心地よい空間をご提案しています。

オフィスに花や緑を取り入れる場合は、グリーンが多ければ良いというわけではありません。グリーンを入れれば入れるほど、その分コストもかかります。限られた緑でどのように量を感じてもらえるか、緑に包まれている雰囲気をどう演出するか。そういったことを考えながら活動しています。

parkERsは、空間設計、植物、施工監理、技術開発、メンテナンスなど、異なる分野の専門家たちが集まったチーム。「日常に公園の心地よさを」という想いを大切に植物のある空間をご提案しています。花や緑はギフトではなく、日常の中にあるべきものだと考えているからこそ、単にその場所に緑を配置するだけでなく、そこにいる人がどのように感じるのか、人にどんな影響を与えているのかという点を重視しています。



これがparkERsのオフィスです。ショールームのようにガラス越しに中が見える作りになっています。私たちが入居しているシェアオフィスの入り口付近にあるため、フロア全体の第一印象となっており、不動産価値も上がったと言われています。

しかし、実際に中に足を踏み入れると、緑はそこまで多くありません。使い勝手やランニングコストも考えて作られています。

とはいえ使い勝手だけを追求したオフィスではありません。一部のデスクは天板が古材で作られていて、コーヒーなどをこぼすとしみ込んでしまって大変だったり、ガタガタとしているために文字を書きにくい一面もあります。しかし、半年に一回行う席替えのとき、一番人気なのはこの古材のデスクです。大きな木の下で仕事をしているような感覚、古材の手触り…。やはり化粧板では物足りなさを感じてしまうのです。

いまの時代の空間デザインには、機能性だけを追求するのではない、こうした感覚が求められていると思います。



オフィスデザインのトレンド


私たちは定期的に、世界最大のトレンドセッターであるカルラン・インターナショナル社と共に、世界のトレンドについて意見交換を行っています。

そうした取り組みから見えてくるトレンドとしては、2009年頃は「ロハス」(LOHAS=Lifestyles of Health and Sustainability)、2013年頃は自然派やオーガニックなどの「ナチュラル」、2016年頃からは自然なだけではなく時間の使い方の要素も加わり「ヒュッゲ」、そして2017年は都市とジャングル(自然)要素の融合で「アーバンジャングル」と変わってきました。

2018年は「ピカピカしていないゴージャス感」がトレンドの一つとして挙げられます。2018年5月青山フラワーマーケットもロンドンに出店しましたが、ナチュラルな丸太と真鍮を組み合わせるなどして、高い評価を得ています。

今後、2020年に向けてはナチュラルなだけではなく、地球環境をどう考えていくかという視点を加味した提案が増えていくことでしょう。

【参考記事】酪農人材の育成による地方創生を目指す!『大手町牧場』に行ってみた
https://www.pasonagroup.co.jp/media/index114.html?itemid=2264&dispmid=796

世界の先進的オフィス


では、ここから先は具体的なオフィスを見ていきます。

まず始めは、今年オープンしたアマゾンの「The Spheres」。
温室の中にオフィスがあり、水が流れ魚が泳いでいます。オープニングの際のメッセージも、従来の働く場所はデザインが重視されてきたが、これからはグリーン環境のほうにシフトしていくという内容だったのも印象に残っています。
https://www.seattlespheres.com/

グーグルのオフィスは「Google Park」。オフィス自体が公園になっており一般の方も入れるようになっています。一般の方も気軽に訪れる公園の中に、オフィス棟が建っているという環境です。

続いては「Apple Park」。
UFOのような形状をしたオフィスの真ん中に公園が作られています。オフィス内はまっすぐ目的地に行けないようになっていて、様々な部署の横を通りながら移動することで、自然とコミュニケーションが豊かになるように設計されています。ガラス張りで外の森や内側の環境が見渡せるようになっており、自然の中に自分が存在しているという感覚を持てるオフィスです。


▲Apple ParkのVisitor Center(アップル社ウェブサイト Newsroomより)

また、Facebookは屋上が大学のキャンパスをイメージした空間で、社員がリラックスして仕事の合間の時間を自由に過ごせる環境づくりをしています。

オフィスの世界的なトレンドをまとめると、数年前までは「デザインで魅せる」という流れがあり、例えばお洒落なカフェをテーマにしたようなオフィスが主流でした。しかし、最近では、「人」が大きなテーマとなってきています。

以前は、「インパクトのあるエントランスを作りたい」という依頼も多かったのに対し、最近ではそこで働く人たちがいかに豊かに働けるかを大切にするオフィスが増えてきている印象があります。人を感じさせるオフィス、水や植物などの有機的な存在がある公園のようなオフィスが多くなってきています。

グリーンを入れたオフィスデザインのご依頼を受ける時も、「知的生産性の向上」や「人材確保」「ブランディング」というテーマから、最近では「自分らしさ」「健康志向」などを求めるお客様が増えてきています。

【参考記事】生産性を高める「ワークプレイス改革」とは? 戦略総務で実現する健康経営・働き方改革
https://www.pasonagroup.co.jp/media/index114.html?itemid=2337&dispmid=796

室内に公園のようなオフィスを


東京はロンドンやベルリンなどの世界の主要都市に比べると、一人当たりの公園の面積が約10分の1しかないと言われています。しかし東京では、もう屋外に新たな公園を作ることは難しくなっています。ですから私たちは、室内に緑がいっぱいある公園のようなオフィスを作っていく「インドアパーク」という考え方を提唱しています。

この考え方をベースに様々な事例が生まれてきていますが、例えば、パソナ・パナソニック ビジネスサービス、日本テレネットとは「COMORE BIZ(コモレビズ)」というサービスを展開しています。

視界の中で緑が占める割合の「緑視率」というものに着目し、働く方のストレス軽減やパフォーマンス向上につながるよう最適な植物の配置をデザインしています。デザインから施工、メンテナンスまでをお任せいただけるサービスで、現在ではパナソニックの本社総務部オフィスや東京建物の八重洲本社ビル、世界一集中できるオフィスとして話題となったJINSの「Think Lab」などにも採用されています。


●「COMORE BIZ」ウェブサイトはこちら
https://www.pasona-pbs.co.jp/comorebiz/

科学に基づくデザインではなく、感性を科学する


近年、私たちの暮らす環境はどんどん便利になっています。しかし同時に、私たちが本来持っている“感覚”はどんどん鈍くなっているのかもしれません。

私のような世代からすると、若い社員がオフィスで隣の人とのやり取りにメールを使うことなどが信じられないのですが、昨今の便利すぎる環境というのは、日々のコミュニケーションの劣化や周りの人に対する気遣いのなさにも少なからず影響しているのではないでしょうか。

そこで、わたしたちは少しだけ「手間」を感じるオフィス環境をご提案しています。
例えばparkERsのオフィスでは、打合せスペースの床にウッドチップを敷き詰めています。これには賛否両論あり、ヒールの靴では歩きにくいとも言われます。しかしこのような試みを通じて、あえてオフィスにちょっとした「手間」を取り入れることで、社員のコミュニケーションを促し、日々に気づきを与えることができるかといった様々な実験をしているのです。

私たちは、あくまでも科学をもとにデザインするのではなく、「感性を科学していく」ということを大切にしています。それこそが私たちの進むべき道であり、オフィスのあり方を考えるうえでも大切なことではないでしょうか。

感性を高めて自然や季節を感じ、それらを科学的に検討しながらオフィスの中にも取り入れていく。こうした取り組みを通じて、都会で働く人にも日常の中で花や緑を感じてもらうことができれば、働く人が周りの人に気を配りながら、自らもいきいきと働ける未来のオフィスデザインへと繋がっていくはずです。

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