株式会社パソナグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役グループ代表 南部靖之)で、社内外の専門家と共に様々な社会課題の解決に向けたフォーラムの開催や提言を行う「パソナ総合研究所」(所長:竹中平蔵)はこの度、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナムの4カ国で働く現地国籍の方々を対象に『新たな在留資格に関するアジア諸国での意識調査』を実施いたしました。
12月8日未明、「出入国管理法(入管法)改正案」が可決されました。就労を目的とした新たな在留資格として「特定技能(1号・2号)」を設け、今後、一定の専門性、技能を有する外国人労働者の受け入れが拡大される見込みです。そうした中、新たな在留資格に関する制度や運用のあり方等を考える際は、国内におけるニーズや課題はもとより、新たな在留資格で来日するであろう海外の人材が、その能力を活かしてイキイキと働くことのできる環境の整備が欠かせません。
そこで本調査では、アジア諸国4カ国(インド、インドネシア、フィリピン、ベトナム)の現地国籍の方々に対して、新たな在留制度に対する意識を聞きました。
調査結果のポイント
● 新しい在留資格で働く期間の上限5年については「妥当だ」が66%となったほか、「長すぎる」という回答も13%に上り、約8割の方が問題ない旨を回答しました。
● 日常レベルの日本語能力が求められることついては、「妥当だ」が65%、「易しすぎる」が23%となり、約9割の方が問題ない旨を回答しました。
● 家族を同伴できないことについては、「妥当だ」が52%に対し、同伴することを希望する方も48%と、ほぼ半々に意見が分かれました。
● 日本で働きたい理由(複数回答)は、「スキルアップ」(72%)、「収入増」(67%)、「見聞を広げる」(67%)が多数を占めました。
● 想定14業種のうち働きたい業種(複数回答)は、食料品製造業(27%)、産業機械製造業(20%)、電気・電子機器関連産業(19%)、外食業(19%)、自動車整備業(19%)の順でした。ただし女性の回答者が圧倒的多数を占めたフィリピンでは、ビルクリーニング(45%)の人気が高いなど、国によって回答が大きく分かれました。
<調査概要>
調査対象国
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インド、インドネシア、フィリピン、ベトナム
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調査方法
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インターネットを通じたアンケート方式
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調査期間
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2018年11月5日~18日
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調査対象
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パソナグループ海外法人や提携機関に人材登録を行っている方(計10万人超)
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回答者数
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4カ国合計で857名(インド156名、インドネシア461名、フィリピン117名、ベトナム123名)
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集計方法
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各国の回答割合を回答者数に応じて平準化し、全体の割合を計算
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<回答者の属性>(4カ国加重平均)
年代
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20歳未満(1%未満)、20代(56%)、30代(31%)、40代(11%)、50代以上(2%)
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性別
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男性(59%)、女性(40%)、未回答・答えたくない(1%)
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学歴
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中学卒(1%未満)、高校卒(23%)、大学卒(68%)、大学院修士・博士(9%)
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日本語力
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日本語能力試験N1~N3(31%)、N4(11%)、N5(4%)、日本語スコアを持っていないが日本語学習歴あり(34%)、日本語スコアを持っておらず学習歴なし(20%)
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【詳細結果】
■アンケートに回答した方のほとんどは、新しい在留資格制度を通じて日本で働くことに興味がある
新しい在留資格制度を利用して日本で働くことに興味があるかを聞いたところ、「非常に興味がある」が74%、「どちらかと言うと興味がある」が22%となり、ほとんどの方が興味があるという結果となりました。(単回答)
これは、アンケートを配信した10万人超の対象者(4カ国合計)の中で、もともと日本で働くことに興味のある方がアンケートに回答しているためと推察されます。
■新制度における在留期間の上限5年については「妥当」とする意見が多数、働きたい期間の希望はそれより長い傾向があり永住希望者も約2割を占めた
新制度における在留期間の上限5年については66%が「妥当だ」と回答したほか、「長すぎる」という回答も13%に上り、合計で約8割の方が問題ない旨を回答しました。また、働きたい期間についての希望を聞くと、「5年未満」とした方が計44%、「5年以上~永住」とした方が計56%となりました。(いずれも単回答)
長く働きたい希望はあるものの、制度としての在留期間の上限については、妥当であると受け止められていることが分かりました。
■新制度において求められる日本語能力は「妥当」とする意見が多数
新制度において、日常会話ができ生活に支障がない程度の日本語能力を要件とすることには、「妥当だ」(65%)、「易しすぎる」(23%)と約9割の方が問題ないと回答しました。(単回答)
これは、回答者に日本語能力が高い方が多いためと推察されます。
■新制度における家族の同伴禁止には意見が分かれた
新制度において、家族の同伴が認められないことについては、「妥当」が52%、「家族も連れて来られるようにしてほしい」が48%と、意見が大きく分かれる結果となりました。(単回答)
■働きたい業種は製造業が上位、女性はビルクリーニングや外食業の希望も多い
想定される14業種について希望する職種を聞いたところ、食料品製造業(26.9%)、産業機械製造(20.1%)、電気・電子機器関連産業(18.8%)など製造業が上位を占めました。ただし、回答者のうち女性の割合が9割を超えたフィリピンでは、ビルクリーニング(45.3%)、食料品製造業(38.5%)、外食業(37.6%)、介護(21.4%)の順となるなど、国によって回答が大きく分かれました。(複数回答)
■日本で働く目的は、スキルアップ、収入増、見聞を広げる が多数
新制度により日本で働く場合の目的を聞いたところ、「スキルアップ」が71.6%、「収入増」が66.7%、「見聞を広げる」が66.5%となりました。(複数回答)
■日本以外で働きたい国は、米国、シンガポール、韓国、オーストラリア、カナダが人気
日本で働くことに「非常に興味がある」「どちらかと言うと興味がある」と回答した方に対して、日本以外で働きたい国を聞いたところ、「米国」が16.3%、「シンガポール」が12.7%、「韓国」が12.3%、「オーストラリア」が11.1%、「カナダ」が10.6%となりました。ただし、国によって就業を希望する国には大きなばらつきが見られました。(単回答)
「パソナ総合研究所」概要
名称
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パソナ総合研究所(英語名 Pasona Institute)
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所 在 地
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東京都千代田区大手町2-6-2 JOB HUB SQUARE
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所長
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竹中平蔵(パソナグループ取締役会長/慶應義塾大学名誉教授/東洋大学教授)
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活動内容
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① フォーラム、ワークショップの開催
②「社会のあり方改革」に向けた政策提言
③ 各種調査活動
④ ワーキングペーパーやレポート等の発行
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運営体制 |
所長およびアドバイザリーボード(外部有識者)の少人数のメンバーからなる運営委員会により提言をまとめます
<アドバイザリーボードメンバー>
・明石 康(元国連事務次長)
・安西 祐一郎(独立行政法人日本学術振興会 顧問 学術情報分析センター所長)
・石原 信雄(一般財団法人地方自治研究機構 会長)
・大島 賢三(元国連大使)
・ジェラルド・カーティス(コロンビア大学 名誉教授)
・黒川 清(政策研究大学院大学・東京大学 名誉教授)
・近藤 誠一(元文化庁長官)
・堺屋 太一(元経済企画庁長官)
・鈴木 久泰(元海上保安庁長官)
・立岡 恒良(元経済産業事務次官)
・松浦 晃一郎(第8代ユネスコ事務局長)
・山﨑 達雄(前財務官)
・山田 啓二(前京都府知事、京都産業大学学長補佐・法務部法政策学科教授) |
特長
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・幅広い分野の専門家や有識者の英知を結集し研究・提言・知的交流・情報発信を行う
・研究型ではなく、自らの問題意識を元に積極的に提言を行う“ドゥタンク(Do Tank)”として情報を発信する
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活動実績
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<活動テーマ>
第1回シリーズ「これからの働き方改革」(2018年4月~6月)
第2回シリーズ「ツーリズムと地方創生」(2018年7月~10月)
第3回シリーズ「規制改革とベンチャー」(2018年11月~2019年1月)※予定
<提言・レポート>
https://www.pasonagroup.co.jp/pi/report/
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HP |
http://www.pasonagroup.co.jp/pi/
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