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環境だより「SONAERU」

大切なのは一人ひとりの “意識改革”!デジタル化で実現する地球環境保全と新しい豊かな働き方

新型コロナウイルス禍によって、社会のデジタル化が一気に加速しましたが、パソナグループも例外ではありません。現在、私たちが当たり前に使っている業務システムやペーパーレスで処理されている様々な業務も、実は数年前までは紙を中心に行われていました。

エキスパートサービス(人材派遣)を手掛けるパソナでは、10年以上前から様々な業務フローや各種文書のデジタル化に取り組み、社員をはじめクライアントやエキスパートスタッフの方々の利便性向上に取り組んできました。
これまでどのようにデジタル化を推進してきたのか?また今後、更なるデジタル化を実現することで広がる、一人ひとりの豊かな働き方とは何か?パソナグループのデジタル化をリードする3名に、インタビューしました!

(左)パソナ 専務執行役員 セールスサポート・オペレーション本部 藤枝朋子 
(中)パソナグループ 執行役員 グループDX統括本部 溝江由里子
(右)パソナ エキスパート役員 セールスサポート・オペレーション本部 兼 パソナHRソリューション 派遣BPO事業部長 原陽子

この記事でココがわかる!3つのPOINT

  1. デジタルシフトによる業務効率の変化
    大量の紙をデジタル化。デジタル化以前と比べた変化とは?
  2. 10年以上にわたる、デジタル化の実現に向けた草の根活動
    社員をはじめ、エキスパートスタッフの方やクライアント企業も巻き込んだ取り組みとは?
  3. 環境負荷の軽減だけじゃない!デジタル化で広がる未来の可能性
    デジタル化の実現で、私たちの働き方はどのように変わるのか?

10年以上に渡る「紙」から「デジタル」へのシフト

デジタル化の取り組みを始めたきっかけについて教えてください

藤枝

私はパソナのセールスサポート・オペレーション本部で派遣・委託契約の管理、エキスパートスタッフの方々、委託先でご就業中の契約社員の給与計算やお支払い、クライアント企業へのご請求等の業務を統括しています。人材派遣やBPOの仕事は、ビジネスの仕組みや法制度上、様々な「書類」が必要です。スタッフの方々のタイムカード、給与明細、保険関係書類、証明書、各種契約書・請求書などが、毎月・毎契約ごとに発行されます。10年ちょっと前までは、膨大な量の紙に囲まれて仕事をしていました。

紙での業務処理がそもそも大変でしたし、紙で書類を作るとその後も一定期間の保管が必要で倉庫代などのコストも嵩みます。しかしそれ以上に、毎月発行される大量の紙を目の前にして、だんだんと地球環境への影響についても考えるようになりました。そこで2010年から、デジタル化の取り組みを始めました。

当時、大体どのくらいの量の紙を使っていたのですか

藤枝

今では信じられない話ですが、当時は契約書や給与明細、申請物など、すべてを紙で扱っていました。繁忙期である3月には、社内の申請書類だけで2万件を超える書類を作成していたんですよ。エキスパートスタッフの方々が毎日使用するタイムカードも、月に2回、数万人分も使用していたので、相当な量だったと思います。

そこからどのようなデジタル化を進めてきたのでしょうか

藤枝

まずは、2010年にスタッフの方々の給与明細からデジタル化を進めました。その後、2013年にはタイムカードのデジタル化、2020年からはクライアント企業との個別契約書のデジタル化と、10年以上かけて徐々にデジタル化の範囲を広げてきました。

デジタル化されたことにより、それまで手作業で取り組んでいたことによる業務の抜け漏れがなくなり、様々なトラブルが解消されました。導入前は、ご年配のスタッフの方々にとってデジタル化はハードルが高いのでは、といった心配の声もありましたが、やってみると意外とそんなことはありませんでした。「慣れてみたらとっても便利だね」という声もいただき、非常に喜ばれています。

デジタル化に欠かせない“草の根活動”と“相手の目線”

導入時、どのような苦労がありましたか

藤枝

スタッフの方々やクライアント企業にご理解いただくことはもちろんですが、社内においても様々な壁がありました。デジタルでの業務に慣れていない社員の中には、何かと紙での確認を希望するメンバーも多く、“これまでの慣れたやり方を変える”ということにとても苦労しました。

それを10年以上かけて、デジタル化によって得られる“メリット”を伝え続けてきました。例えば、契約書類等を郵送で送ると到着までに数日間はかかってしまうと思いますが、デジタル化をすることで数分後にはデータが届くなど、圧倒的に時間が短縮されますよね。これは当社にとってはもちろん、スタッフの方々やクライアント企業にとっても大きなメリットがあります。

そういった身近なことから、デジタル化によるメリットを伝え続けていくことで、少しずつデジタル化への理解を広げていきました。

溝江

2014年、スタッフの方々がウェブ上で給与明細等を確認できる「マイページ」の運用を開始したのですが、当時はまだスマホに慣れていない方も多かったですし、導入後のサポートに苦労しました。

当時は、スタッフの方々からのお問合せに対応する「スタッフコンシェルジュ」が立ち上がったばかりで、サポート体制が十分には整っていない状態だったこともあり、たくさんのお問合せに対して、一人ひとりにお電話や対面で、時には30分以上かけて操作方法を丁寧にお伝えしていきました。
本当に地道で時間のかかる作業でしたが、そのような時間をかけた“草の根の活動”がなければ、それほど以前からデジタル化を進めることはできなかったと思います。

デジタル化という新しい取り組みをする上で一番大切なのは、 “相手目線”に立った方法を考えることです。

例えば、スタッフの方々にウェブ上での在籍証明書など各種証明書の出力をお願いしたくとも、スタッフの方によっては就業先や自宅などにプリンターがなく、書類を出力できないということが分かりました。そこで、身近なコンビニのプリントサービスで出力できる方法を導入することになりました。
こうした相手の目線に立って解決に向けた柔軟なアイディアを思いつけるかどうか。新しい取り組みだからこそ、そうした試行錯誤が重要だったと感じています。

小さな意識づけから社会が変わる

環境負荷の軽減を目指したデジタル化に受けて、今後グループ社員に期待することは何ですか

溝江

一人ひとりができることは、きっと身近なところにあると思います。そうした地道な取り組みが積み重なって、いつの間にか大きな意識改革にも繋がっていく。環境への取り組みをあまり大変なこととは思わずに、簡単にすぐにできることから取り組んでみてほしいです。

また、楽しく取り組むということも非常に大切だと思います。皆さんが、身近なことから楽しく取り組むことができる仕掛け作りも、行っていきたいなと思っています。

藤枝

私も、“ほんのちょっとの積み重ねと意識の変革”が重要だと思っています。例えば、印刷する際にプレビューを必ず見てから印刷ボダンを押すだけで、ミスが減りますよね。それによって無駄な紙の使用を削減できます。とても小さなことですが、それを積み重ねていくことで意識の変革にも繋がっていくと思います。

また、「偉い人との打ち合わせは、必ず紙に出力した資料を持って行こう」とか、「大きなミーティングで発表するときは、手元に印刷した資料を持っておこう」など、これまでの組織全体の古い発想をみんなで変えていくことが必要だと思います。

パソナグループは大きな会社なので、こうした一人ひとりの小さな取り組みや意識の改革が積み重なれば、結果として社会全体にも影響を与えていけるのではないでしょうか。

各所のプリンターに掲示。今後は一人ひとりのPC上にポップアップされる予定

環境負荷の軽減以外にもデジタル化は様々な効果を上げていますね

藤枝

2020年10月より、私が管轄するオペレーション本部も兵庫県淡路島へ移転しました。現在では、契約関連業務の約1/3は淡路島で対応しています。これまでは物理的に移転が難しかった業務も、10年以上にわたってデジタル化を進めていたことで可能になりました。

同時に、場所や時間にとらわれない多様な働き方の実現やBCP対応の強化にも繋がると考えています。デジタル化は、私たちの日々の働き方を大きく変えていけるものなのです。

溝江

現在、グループDX統括本部では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の開発やRPA人材の育成研修を進めています。RPAによって、紙の削減が進んだのはもちろんのこと、業務の効率化が進み、時間外労働を減らすことにも繋がっています。
そして、残業時間の減少は一見すると環境問題と無関係のように感じますが、業務時間が短縮されれば、その分だけオフィスの稼働時間も短くなり、結果として消費電力の削減にも繋がります。

デジタル化の表面的な効果だけにフォースするのではなく、デジタル化により、その後どのようにエネルギーの削減に繋がるのか。そうしたデジタル化に伴う相乗効果についても深掘りしていくことで、循環型社会の実現を目指していきたいと思っています。

今後、さらなるデジタル化が進むことによって、一人ひとりの時間の使い方が変わってくるのではないかと思っています。効率化により業務時間が短縮されることで、今まで仕事に費やしていた時間が、自分の好きなことや新しいことにチャレンジをする時間に変わっていくのです。

デジタル化を進める中で、地球環境の保護を促進させるのはもちろんのこと、一人ひとりがより豊かな時間を過ごすことができる、新しい働き方の実現にも寄与していきたいと思います。

藤枝

今後は、パソナで進めてきたデジタル化の取り組みをグループ各社にも横展開し、グループ全体としてデジタル化による業務改革と環境負荷の軽減に取り組んでまいります。皆さまも是非、日々の紙の使用量を減らすなど、身近なところから意識して取り組んでもらえたらと思います。