パソナグループは、1984年に日本の人材会社として初めて香港に海外進出を果たして以来、現在、アジアと北米を中心に14地域59拠点を展開し、日本企業の海外進出を総合的にバックアップしています。
特に近年は、成長著しいASEAN地域のネットワークを強化し、クロスボーダーで活躍するグローバル人材の就労支援から各国の現状に合わせた幅広いサービスを拡充しています。
その一つ、2004年に開設されたパソナテックベトナムは、総合人材サービス・ITアウトソーシング・ビジネスアウトソーシングの3つの事業を軸に、5つの拠点でサービスを提供しています。今回は、ベトナム・ハノイでBusiness Developmentマネージャーとして活躍する三浦彩花さんにお話を伺いました。
海外生活は約2年
ー今日はベトナム・ハノイからお越しいただきました。ありがとうございます。ハノイで、もうどのぐらい働いていらっしゃいいますか。
約2年経過しようとしています。その前はドバイ万博のプロジェクトに携わり、7ヶ月間ドバイで働いていました。万博が終わる頃には、もうハノイに行くことが決まっていました。
ードバイでは、どんなお仕事をされていたのですか。
万博に日本国が出展していた日本館の運営です。お客さんがいらした時のアテンドはアテンダントと呼ばれる大学生から30代半ばぐらいまでのスタッフが対応します。私たちは、そのスーパーバイザーのようなポジションを担っていました。
私はずっと海外に行きたいと言っていたので、ここにアサインしていただけました。
思いを伝え続けて実現する
ー海外で働きたいとずっと思っていらしたんですね。
2015年に新卒でパソナに入社した時からずっと、「海外で働きたい!」と言い続けていました。実は、パソナで内定をもらった大学4年生の時、夏休みにインドに遊びに行き、パソナインディアに訪問したことがあります。当時の社長から拠点の立ち上げ話や、異文化ゆえのギャップ、インド国内で6拠点に拡大するまでの苦労話などを伺って、鳥肌が立ったんです。わくわく感が止まらず、その時、「自分も海外で働きたい、挑戦したい」と思いました。
それまでも周囲に海外志向の友達が多かったので興味はありましたが、海外で働くという具体的なイメージはありませんでした。英語も特に得意というわけではなく、受験英語しか勉強してきませんでした。
ただ、大学では国際政策学科だったので、週4コマ英語の授業があり比較的グローバル色の強いところで、周りには女性一人でバックパッカーとして色んな国に行く人などもたくさんいたので、感化された面もあります。ちょうどその頃、インドに行く友達も多く、自分も実際に行ってみて、社長の話を聞いて―。そこで「海外に行きたい」と決心しました。
ー入社時は、どこに配属されたんですか。
最初は、関西営業本部に配属され、派遣サービスの営業として4年間、同じチームで働きました。オフィスは梅田でしたので、お客様は比較的大企業が多く、海外を担当するグローバル事業部の方が東京から出張などで来た時には、同行させてもらっていました。
その頃から、海外のグループ会社やグローバル事業部などのオープンポジションへの応募を重ね、ついに念願の東京のグローバル事業部に異動することができました。
そのタイミングで配属された人は私も含めて3人で、一人の先輩は配属されて3ヶ月後にインドネシアへ、もう一人の先輩も1年後にアメリカへ。しかし私は、なかなか移動できず、「結果を出して備えるしかない!」という思いで、ずっと人材紹介の営業をしていました。そうした中でコロナ禍が来て、海外に行くことすらできなくなってしまいましたが、「いつかは海外で働きたい」モチベーションをずっと持ち続けて頑張っていたら、ドバイ万博の事業に携わらせていただくことになりました!
ドバイからハノイへ
ー実際にドバイに行かれて、いかがでしたか。
今までパソナで経験してきた業務内容と全く違う仕事で、少し転職した気分でした。スーパーバイザーでしたので、運営側とアテンダントとの調整役という立場がなかなかハードで…。コロナ禍ということもあり、誰も経験したことのない状況に対処しなくてはなりませんでした。もちろん、日本からもたくさんのサポートをいただきましたが、現場を任されている立場ですから自分で判断しないとならないことが多く、かなりのプレッシャーでした。
でも、海外で働く初めての機会でしたし、色んな国の人と出会えて楽しかったです。さらに人生で初めての万博でしたので、世界中の人、文化、食に直に触れることができて、とても嬉しかったですね。またプロジェクトベースで働くのが初めてだったので、同じメンバーで一つのものを作り上げる達成感を感じることができました。
ドバイ万博後も、絶対に海外で働きたいと思い、その時、ベトナムで人材を募集しているという話を聞いて、二つ返事で「行きます!」と言いました。
ーハノイ赴任直後はどうでしたか。
今、振り返ると、ハノイに行った当初はとても苦労しました。楽しいと思える瞬間は、お客さんと話している時。というのも、今までずっとプレイヤーでいたため、マネジメントを経験したことがなかったのですが、急に人材部門のマネージャーとして配属されたんです。しかも、自分がマネジメントをするのはベトナム人スタッフ…という未知の世界過ぎて、日本の感覚で「こうしたら、こうなるだろう」というのが全く通用しない。
私の指示についても、なぜそうするのかというところから説明をしないといけませんし、思いを汲み取ってもらう、空気を読む、先を読むということはしてもらえないので、手取り足取り「これが終わったら、じゃあ次これしようか」という日々でした。
今でもマネジメントは課題山積なのですが(笑)、楽しく仕事をしています。
お客さんは全て日系企業さんなのですが、ハノイはホーチミンに比べると日本人の数が少なく、会社数も800社ぐらいなので、出会う日本人も限られてきます。すると、色々な所で交流や繋がりができて、県人会や大学のOBOG会のような集まりから繋がって、アポイントを取らせていただいて、お仕事をいただくということがあります。
日本にいた時よりも「三浦さんだから、ちょっと相談したくて」という機会が多くなり、営業としてはやりがいを感じます。
メンバーの声を聴きながら課題をクリアする
ー今、何人スタッフがいらっしゃるのですか。
キャリアアドバイザーが7人です。みなさん20代半ばで、それぞれの思いをストレートにぶつけてくるので、意識しているのは「なぜそうするのか」という理由をきちんと明確に伝えることです。何のためにそれをするのかというのを、毎回きちんと本人達が納得いくまで話をします。
目標成約数から、それぞれ何件面接して、何件書類を送って…という計画を立てるのですが、結果が出ていないならコンタクト数をあげることになります。「これだけの目標に対してこのアクション数で、達成できていないということは、そもそもの数をもっと増やさないといけない」というのを、一緒にパーセンテージを計算しながら納得してもらいます。
また、「なぜ求人のポジションに人材が紹介できないのか」についてでしたら、「この媒体を使ったらどうだろう」という試行錯誤を、一つひとつやってみて、それをまた1週間後のミーティングで「どうだった」と丁寧に後追いをします。
私自身もキャリアアドバイザーをやったことがない中で、ベトナム人の転職感が分からないこともありますが、その際は、メンバーの声を聴き少しずつ理解しながら日々奮闘しています。
▲一人ひとりのメンバーの声をききながらマネジメントすることを心掛けています
ーその結果、何か変わりましたか。
それを繰り返していたら、一人とても
成果を出すメンバーが出てきました。他の人も感化されて、全体の数字が伸びることを期待しています。
いま、「2025年に向けてパソナのシェアを伸ばしていこう」という、グループが掲げるグローバル事業の方針があります。私はベトナム・ハノイの人材紹介を担当し、海外で業績を伸ばしているタイの拠点長の直下でアドバイスをいただきながら進めているところです。2025年までの2年間、私自身にとっても大きな挑戦になるため気を引き締めています。
ーベトナム人の転職感というのは、日本とは違いますか。
ベトナムでは、新卒で10人入社しても、1年後には3人しか残りません。日本だと3年で3割が離職するなどと言われていますが、ベトナムでは1年で3割近くが離職します。
転職をする理由はキャリアのスキルアップというよりも、お給料を上げていくことです。ですから会社への帰属意識や、この会社のためにとか、ここで長くキャリアを積んでいきたいという思いはあまりありません。30代になるまでに4、5社程度転職するのが普通だと聞いています。
30歳くらいになると女性は結婚・出産して、その後は一つの会社に長く腰を据えて働きたいという志向に変わっていくので、転職志向も落ち着く傾向にあります。そのままマネージャーになったりする人が多いですね。男女比で言うと、女性の活躍が目覚ましく、日系企業の社員は8~9割が女性で、皆さんよく働きます。
▲社会貢献活動後に仲間たちと朝食
任せてもらえる喜び
ー海外で働く魅力を教えてください。
触れたことのない文化に触れたり、人と出会えるのはもちろん、仕事においては「
個人の裁量権が大きく任せていただける」ということです。ハノイでは、日本人は私と支店長の二人体制なので、「これをやりたい」や「こういう声が現場から上がっているので取り入れてみたい」というときに、支店長承認が取れれば即座にやってみることができます。現場での気づきやお客様からの新たなニーズ、手掛けたことがない依頼に対しても、柔軟に
挑戦することができます。それは「海外ならでは」かなと思います。楽しいですし、やりがいを感じながら働いています。
ーでは、パソナグループの魅力を教えてください。
海外拠点にいても、ベトナム人も含めて皆さんハートフルで、人思いで、温かい、パソナらしい社員が多いですね。困っている時には、拠点の垣根を超えて救いの手を差し伸べてくれますしパソナグループで働いているんだなと実感します。
また、お客さんのニーズに対して色々やってみようというマインドも
パソナグループらしさだと思います。ベトナムでも一気通貫のワンストップ営業というスタンスで、人材紹介以外にも研修や派遣など幅広くサービス展開しており、お客様のニーズに応えようという姿勢は、日本と同じです。
イキイキ・ワクワク働く人を増やしたい
ー今後の目標について教えてください。
パソナテックベトナムを、ベトナムでトップの人材会社にすることです!また、私個人としては、このまま海外でキャリアを積んでいきたいです。まだまだですけど、いつかは、新しい拠点の立ち上げにも挑戦してみたいですね。
私は、人に職の選択肢を提供したくてパソナに入社しました。それを自分自身で体現していきたいですし、漠然とした大きな夢を実現していきたい。
就職活動をしていたときに、「そもそも働くことって楽しいのかな」という印象が強かったんです。1日24時間のうち8時間、3分の1以上の時間を仕事に費やすわけですから、クライアントのニーズに応えてやりがいを感じて、それが
自分の生きがいに通じるんだろうなと考えました。そして、自分自身もイキイキ・ワクワク働きたいですし、そういう感情になれる人を増やしていきたいですね。その人が築きたいキャリアや挑戦したい仕事に対して、選択肢を提供できる人でありたいと思い、今に至っています。
海外ですと、日本以上に職の選択肢が限られる側面もあります。言語によって就ける仕事、就けない仕事があり、生まれ育った環境により就けない仕事もあると思います。そういう方々へ仕事の選択肢の幅を増やせるような人でありたいと思っています。
ー最後に、海外で働きたい人へのメッセージをお願いします。
興味があるのであれば、
躊躇せずにまずは飛び込んでみてほしいです。私自身も、海外に行きたいんだったら英語がペラペラ話せないといけないんじゃないかとか、留学経験がないといけないんじゃないかというイメージをずっと持っていました。
私自身ももともと、英語がペラペラでもないし、留学経験もないし、海外に長く住んだこともなくて、ただただ海外への興味だけだったんです。
しかし、「海外で働きたい」と言い続けていると、もちろんパソナグループだからこそという面もあると思いますが、海外関連の部署に配属してもらって、実際、今では海外で働けています。「言霊(ことだま)」と言いますが、まずは思いがあれば、それをどんどん発信して欲しいですね。
想定外のことも起こりますし、チャレンジングでハードルもたくさんありますが、それを仲間と一緒に乗り越えていく楽しさや、
日本では味わえない感覚をたくさん経験できることが、海外で働く魅力だと思います。そういう夢に向かってチャレンジする人達が増えたら嬉しいですね。
▲2024年2月 パソナテックベトナム20周年社員旅行でPhu Quoc島(ベトナム)へ