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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2017.03.09 ドキュサイン(DocuSign)が変える働き方と社会―キース・クラック会長に聞く【前編】

文:INITIATIVE編集部

いつもデスクの上に書類の山があって、忙しいときに限って欲しい書類が見つからない。皆さんもそんな経験はありませんか?いま、世界中のオフィスで使用されている、あらゆる「紙」を無くしていこうとしている会社があります。アメリカのサンフランシスコに本社を置くドキュサイン(DocuSign Inc.)です。彼らが提供する「ドキュサイン(DocuSign)」ソリューションは、デジタル・トランザクション・マネジメント(※)と電子署名サービスの“世界標準”とも言われており、現在、世界188ヶ国で25万社が導入し、1億人を超えるユーザーに利用されています。今回は米国DocuSign Inc.のKeith Krach(キース・クラック)会長に、ドキュサインによって実現できる新しい働き方やビジネスのあり方を聞きました。

※デジタル・トランザクション・マネジメント(DTM):
時間や場所、デバイスを問わずに、誰でも安心して安全な環境で同意書の署名、送付、管理を可能にし、業務プロセスのデジタル化を実現するサービス


DocuSign Inc. キース・クラック会長

1億人が利用するドキュサインのソリューション


――設立から13年で、ドキュサインがこれほど広く利用されるようになった理由は何だと思いますか?

理由は大きく3つあります。
1つ目は優れた「カスタマーエクスペリエンス(顧客経験価値)」です。今ではスマートフォンを使って映画を見たり買い物をしたりと、何でもできる時代です。そのため、例えばパソナのような人材サービス会社が求職者にオファーレター(採用通知書)を出すときでも、紙で送ると「いまどき古臭い」と思われるようになってきました。ドキュサインを使えばスマートフォンで簡単に署名をすることができるからです。

2つ目は「ROI(投資対効果)」が高いこと。例えば採用活動においても、オファーレターを出すだけで、入社手続き等のワークフローが並行して進んでいくなど恩恵を得ることができるため、導入により業務処理のスピードが格段に速くなります。

3つ目は「セキュリティ・プライバシー・コンプライアンス」が徹底していること。例えばオファーレターを候補者のご自宅にファックスで送ったら、その方の奥様がそれを見て「あなた!本当はこんなに稼いでるの!?」となってしまうかもしれませんよね。(笑)
この例は冗談ですが、そうしたことはないに越したことありません。紙を使うよりもドキュサインのほうがセキュリティもプライバシーも守られるのです。

――ドキュサインの優位性はどこにあるのでしょうか?

理由はたくさんあります。ドキュサインは外見上とてもシンプルに見えますが、裏側では非常に複雑なシステムが動いています。

「セキュリティ」を担保する暗号化の技術などは非常に高度なものです。また、ドキュサインの特性上、セキュリティと共に大切なのが「可用性」です。決してシステムをダウンさせてはいけません。1分間でも止まってしまえば、お客様がビジネスチャンスを失うことにつながります。

それから、使いやすい「UI(ユーザーインターフェース)」となるよう意識して開発してきました。国ごとに異なる法律や文化、商習慣に対応して「コンプライアンス」を担保するためのカスタマイズにも大きな投資をしてきました。

――国ごとに対応するのは大変ですね。

それと同時に、企業の業態や規模によっても、ビジネスの仕組みや社内制度は異なります。

ドキュサインのもうひとつの優位性は、様々なシステムと「インテグレーション(統合)」が可能な点です。セールスフォースやマイクロソフトオフィスのほか、サクセスファクターズのようなタレントマネジメントシステムとも統合的な運用が可能です。

我々は、国で言えばスイスのような中立国です。それこそが我々の戦略なのです。世界中の様々なシステムと統合し、あらゆる企業とビジネスができるようにしています。世界的な製薬会社、金融・保険会社での利用から個人利用まで、まさにエンタープライズからコンシューマーまで幅広い領域で利用いただけます。



ドキュサインはビジネスを変える


――ドキュサインは「紙文化を破壊する」と言っていますが、ペーパーレス化はビジネスをどう変えていくでしょうか?

当然、それはビジネススピードに影響してくるでしょう。
例えば、私は過去に大手自動車メーカーで働いていました。当時、何か社内承認をもらうときは、紙を持ってオフィスの建屋から建屋へ歩き回りながら承認をもらわないといけませんでした。
ドキュサインであれば、複数の決裁者による承認を全てデジタル上で、同時並行で進めることができます。スピードアップと効率化は明白です。

ドキュサインの顧客のひとつにバンク・オブ・アメリカがあります。私も個人的にバンク・オブ・アメリカを利用しているのですが、以前は月に2回、私たち顧客宛に宅配便で書類が送られてきて、それにサインをしなくてはいけませんでした。しかし、忙しかったり外出が続いたりすると、すぐに郵便物は開封されません。時間がかかりますし、もちろん郵送費もかかります。
それらの業務を全てドキュサインに置き換えたところ、顧客からの返事が早くなっただけでなく、年間数千万ドルもの郵送費が削減されました。

通常、紙ベースで契約書を取り交わす場合は何日も、場合によっては何週間も時間がかかります。しかし現在、ドキュサインでは84%の業務処理が1日以内に完了しています。さらに51%、すなわち半分以上の処理は15分以内に完了しているのです。

ドキュサインには業務処理だけではなく、決済の機能もあります。
ドキュサインを導入いただいているリンクトインでは以前、顧客からの支払が振込みで行われており、入金まで15日ほどかかっていました。しかし、今ではドキュサインで署名すると同時に入金処理がなされるような仕組みになっています。

消費者としてもセキュリティを担保しながら簡単に支払ができますし、企業にとっても代金がすぐに支払われることで収益性が向上します。双方にとって良い仕組みです。
同様の仕組みはクレジットカードのVISA(ビザ)やPayPal(ペイパル)、Apple Pay(アップルペイ)などでも利用いただいています。

――グローバルな決済ネットワークとも連携しているということですね。

我々は「ビジネスはグローバル、信頼はローカル」を合言葉にしています。

各国の市場にはそれぞれの商習慣の“遺産”があります。北米のスタンダードもあれば、南米やアジア、欧州のスタンダードもあります。ドキュサインはグローバルな信用ネットワークを築き上げると同時に、各国の事情に合わせたビジネスを展開し、ローカルな信頼を積み重ねてきました。

――企業における活用事例を教えてください。

企業にとっての大きなポイントは、ドキュサインは戦略的な武器として使えるということです。

例えば採用の内定を出した優秀な人材に、競合他社も内定を出していたとします。片方はドキュサインで雇用契約書を送り、候補者がサインしたのかなど現状のステータスも可視化されています。もう一社は郵送で送り、いつ書類が帰ってくるかわからない。スピード感は大きく異なります。ドキュサインの導入は、ベストな人材を採用する上での武器にもなります。

他にも、オーストラリアのある銀行ではドキュサインを使うことで、通常は40時間ほどかかる個人の小規模ローンの手続きを4時間以内に完了させるサービスを開始し、顧客から大きな支持を受けています。

また、入学手続きにドキュサインを使うアメリカの大学のCIOが、「ドキュサインにより紙と時間の節約になっただけではなく、高校生が『クール』だと感じてくれたことで入学辞退率が下がった」と言っていました。それにより、大学ランキングが向上するなど、経営上の効果もあったそうです。

【後編】に続く

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